2015年に日本写真協会新人賞と木村伊兵衛賞を受賞した沖縄県出身の写真家、石川竜一さんの写真集『adrenamix』発売を記念したトークイベントが2015年11月28日、那覇市のジュンク堂書店那覇店で開かれた。石川さんをテーマに番組を制作した琉球放送の與那嶺啓アナウンサーが聞き手を務め、石川さんの多彩なエピソードを引き出した。トークのほぼ全文を書き起こし、再現する。

【與那嶺】なにかお聞きしたいことはありますか?

【男性】おすすめの写真集というか、この1冊というのはありますか?

【石川】僕は基本、いいと言われている写真集とか有名な写真集とか、そういう歴史に残っている写真集はやっぱり残っているだけの意味があると教えてもらっていて、それはそうだなって思いますね。だから有名な、例えばダイアン・アーバスだとか、アウグスト・ザンダーとか、他にも世界的に評価されてる写真家の方いると思うんですけど、それぞれの良さってすごいあって。僕の写真集買うよりはそっち、と言ったらおかしいんですけど。良いって言われてる写真集買ったらいいんじゃないですか。それこそ友達とかに聞くのもありだし、ネットで調べるのもありだし。なんでもそうだと思うんですけど、一つの物見て物事って判断できないじゃないですか。だからそういうのをたくさん、買わないにしても見ていく、図書館とか、本屋で立ち読み、は本屋の人に迷惑かもしれないけど、色んな物を見て自分の感じって言うのを探っていくのがいいと思います。

【男性】勉強になりました。ありがとうございます。

【與那嶺】石川さんの写真集で言うと、「okinawan portraits」は女性の方がよく購入されるらしいですけど。「絶景のポリフォニー」のほうが男性が多いと。

【石川】いやちょっとした差異ですよ。僕は逆な感じに聞いたと思うんですけど。結構適当なこと言ったな、と思ったりして。

【與那嶺】続いて何か聞きたいことはありますか。逆に石川さんが聞きたいことはありますか?

【石川】僕、酔っぱらいだからお店の周りとかうろついてますけど、どうなんですか?(会場に来ていた石川さんの友人に)

【與那嶺】普段の自分のことについて(笑)じゃあ答えていただいて。

【石川さんの友人】ふだん、素面(しらふ)なときを見ることが本当にないので。だから、ある意味珍しいレアなキャラを見れたというか。

【與那嶺】新鮮なんですね、この状況が。

【友人】新鮮ですね。あとはもうだいたいグデングデンになっている。

【石川】あれはそういう風に装っているだけなんですけど。

【友人】っていうことにしておきましょうかね。

【與那嶺】では、質問がある方。

【女性】今の話に関連して、グデングデンになっていることが多いということだったんですけど、撮られている写真の中にも撮った覚えがないとか、前後不覚な感覚の時に撮られた写真もセレクトの時に選ばれたりもするんでしょうか?

【石川】ほとんどないと思いますね、それは。やっぱり写真が残っているとそこから記憶ってよみがえるじゃないですか。だから、いつ撮ったんだろうという中で、っていうのは今の所はなくて。あるんですかね、そういうのって。僕はないですね。ただ、いつ撮ったんだろうというものはないけど、撮ったときにどうでもいいと思って撮ってたり、全然「これキター」っていうのもなく撮ったのがあとで「なんかヤバい」っていうのはありますよ。

【與那嶺】面白いですね。その時は分からない。

【石川】でもだいたいそんなもんだと思いますよ。

【與那嶺】他に質問はありますか。

【男性】石川さんの写真を見ていると、さっきもドキュメンタリーの中で「人との距離感の詰め方がうまい」という話があって、所属しているコミュニティーだったりとか仲間内だったら分かるんですけど、友達じゃない人とも同じような距離感で、写真を撮る前にその人と話したりすると思うんですけど、1人のポートレートを撮るのにだいたいどれぐらいの時間をとっているとか、あと他に距離感を詰めるためにやっていることってありますか?

【石川】時間は人それぞれですね。急いでる人を長く引き止めることはできないし、話続けてる人に早く終われ、って言うこともできないし。僕は好きだなと思った人と一緒に居たいと思うし、一緒に話してて楽しいと思うし、そういう人を撮りたいと思うので。それにはそんなに違いがないというか。この人とこの人が好き、この人とこの人に興味がある、っていうのに、そんなに差がない。差もクソもないというか、この人はこうでこの人とは違うからいいんだとか、そういうことで言えばみんな同じようなもんというか。それぞれの自分が好きだと思った所、引っかかるような所っていうのだけを考えれば、違いってあんまりないんじゃないですか。違いがないっていうか、みんな違うか。それぞれの好きっていう所、面白いと思う所を考えること、そうしたら距離感が自然と縮まってくるのかもしれないです。

【與那嶺】結構、取材してる中でも「撮らせてください」って言って30分くらい話して結局撮らせてくれないっていう場面もたくさんあったりしたんですけども。それでも何度も果敢に色んな人に声かけてって、それがこうやって作品になっているんだな、っていうのは取材しててすごく感じましたね。

【與那嶺】お時間がそろそろ来たということで、この辺でトークを終わりにしたいと思います。最後に石川さんからひとことお願いします。


【石川】僕はあいかわらず沖縄にいて、その辺でフラフラしたりしていくんですよ。映像にも残ってたんですけど、人に声かけるときはあんな感じで。でも人に声かけるのって怖いですよね、初めての人とか。なので、道とかで見かけたら。でもそれで手振られるのも嫌ですね、「あっ、いたー!」みたいなのもあんまり・・・そっとしておいてください。お忙しい所ありがとうございました。これからもバシバシいきます。よろしくお願いします。