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「何とも言えない喪失感」と涙 焼失した首里城を視察の文化庁長官 防火対策拡大の意向

2019年11月21日 08:31

 宮田亮平文化庁長官は20日、火災で正殿や南殿、北殿が全焼するなど7棟9施設が被害を受けた首里城を視察した。守礼門の前で記者団に対し、復元した建物の防火対策について「(重要文化財か、そうでないか)あえて線引きせず、素晴らしい建物の保存、管理をしっかりとやっていきたい」と述べた。その上で、9月に全国の国宝や重要文化財の建造物を対象に定めた防火対策ガイドライン(指針)を、復元した建物にも拡大して、適用する考えを示した。

守礼門前の記者会見で涙ぐむ宮田亮平文化庁長官=20日午後、那覇市・首里城公園

 首里城再建後のスプリンクラー設置の是非は、今回の火災原因が明らかでないことや、防火設備、建物の特性などを踏まえて判断する必要があるという理由で、言及しなかった。

 文化庁は4月にパリのノートルダム寺院で火災が発生した後、国内の国宝や重要文化財の建造物、美術工芸品を収蔵する建物などを調査し、9月に「防火対策ガイドライン」を関係自治体に通知していた。首里城は復元した建物であることから対象外だった。

 宮田長官は、沖縄美ら島財団の保有する琉球王朝時代の工芸品など1510点のうち、火災で400点以上が焼失し、その他も熱や消火用の水の影響を受けたことに「文化庁は火災直後に調査官を派遣し、現在も駐在している。応急措置や修復、復元などの技術的助言を含め、可能な限り支援したい」と話した。

 再建の際には、世界遺産に指定されている遺構の上に建てることから、文化庁は国連教育科学文化機関(ユネスコ)や県教育委員会と連携し、文化財の管理、保護の観点から取り組む必要性も強調した。

 宮田長官は奉神門から正殿手前の御庭まで入り、焼け落ちた建物などを視察。自身も金属工芸家であり、前職の東京芸術大学学長時代には、県立芸術大学との交流で何度も首里城に足を運んだ経験があるという。

 視察の感想を問われ、「真っ黒な大龍柱だけがたたずんでいるのを見ると、何とも言えない喪失感を味わうとともに、琉球王国の栄華を思い起こし、心は複雑だった。本当に残念」と大粒の涙を流した。

(写図説明)守礼門前の記者会見で涙ぐむ宮田亮平文化庁長官=20日午後、那覇市・首里城公園

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