社説

社説 [大学共通テスト] 記述式も見直すべきだ

2019年11月21日 08:47

 公平性や公正さに、これだけの疑問が噴き出している以上、来年度の実施はあり得ない。混乱を避けるためにも、ここはいったん立ち止まり、見直しを決断すべきだ。

 見送りが決まった英語の民間検定試験に続き、大学入学共通テストで導入される記述式問題への批判が高まっている。

 19日には高校生らのグループが文部科学省を訪ね、「数え切れないほどの欠陥がある」とし、中止を求める要望書を提出した。同日開かれた参院文教科学委員会の参考人質疑では、専門家が制度設計のゆがみを指摘した。

 センター試験の後継として2020年度に始まる共通テストでは、国語と数学で記述式問題が出題される予定だ。国語の場合、小問三つで構成される大問一つが記述式となり、5段階で評価される。

 指摘される課題は大きく三つ。

 一つは50万人以上が受ける試験の答案を短期間のうちに、正確に採点できるかという公平性への疑問である。

 一定の基準を設けたとしても、マークシートと違って採点者による評価のぶれは否定できない。専門性が求められる業務に学生アルバイトを使う是非も問われている。

 昨秋実施した試行調査では、補正が必要な採点ミスが国語で0・3%あった。受験者の1500人に当たる決して小さくない数字だ。

 試験本番まで1年2カ月というこの時期に、受験生の不安を解消できていない、そのことこそが最大の欠陥である。

■    ■

 二つ目は、自己採点が難しく進路選択に影響がでかねない懸念だ。 

 受験生は共通テストを受けた後、自己採点に基づいて出願先を決めるが、先の試行調査では、実際の採点と自己採点のズレが国語で最大3割に上った。

 自分の評価が分からないまま合格可能性が低い大学に出願したり、二段階選抜で門前払いされる受験生が出るのではないか。

 記述式導入の目的は思考力や判断力、表現力の育成である。その方向性に異論はない。

 ただ専門家が指摘するのは「採点のしやすさを優先した結果、多くの条件が付けられ、本来、記述式で測るべき学力を測れなくなる」という問題の質の低下である。これが三つ目だ。

 大規模な共通テストに記述式を導入することに、そもそも無理があるのではないか。■    ■

 今月初め文科相が見送りを表明した英語の民間検定試験を巡っても、地域格差や経済格差が不公平を助長するとの批判は以前からあった。

 課題に向き合う時間はあったはずなのに、現場の声に耳を傾けず、突き進んだ構図は記述式も変わらない。

 文科省に要請した男子生徒は「僕たちは人生をかける思いで答案を仕上げている」と訴えた。受験生にとっては人生の大きな分岐点ともなるテストである。

 見直しとは別に、受験生を振り回し、混乱させた責任は取らなければならない。

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