沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミックスユニットは20日、県の特産品で知られる海ぶどう(和名・クビレズタ)の粒がある房部分で光合成や植物ホルモンに関連した成長に関わる遺伝子群が働いていることが分かったと発表した。この機能はツタ状の部分と異なり、陸上植物の葉と同じ遺伝子群が働いているという。「謎が多い生態の解明の糸口になる」とし、栽培・管理方法の改善にも役立つと期待する。

粒のある房部分で植物の葉のように光合成など成長に関わる遺伝子群が働いていることが分かった、海ぶどう(OIST提供)

海ぶどう(左)と陸上植物の比較。図中、緑色部分は光合成に関わる遺伝子が盛んに働いている部位、オレンジ色部分はDNAの合成に関連する遺伝子が盛んに働いている部位(OIST提供)

粒のある房部分で植物の葉のように光合成など成長に関わる遺伝子群が働いていることが分かった、海ぶどう(OIST提供) 海ぶどう(左)と陸上植物の比較。図中、緑色部分は光合成に関わる遺伝子が盛んに働いている部位、オレンジ色部分はDNAの合成に関連する遺伝子が盛んに働いている部位(OIST提供)

 海ぶどうは全体が一つの細胞でできている単細胞生物で、ブドウのような複雑な形がどのように作られ、各部位がどんな機能を果たしているか謎が多い。養殖でも食用部位となる粒ができにくいこともあるなど形作りに関連した問題が養殖関係者を悩ませている。

 同ユニットは、恩納村漁協から養殖海ぶどうの提供を受け、今年3月に初めてゲノム(全遺伝子情報)を解読。遺伝子の塩基配列を高速で読み取る「次世代型シーケンサー」を使って、ツタ状の部分と房部分の遺伝子機能を網羅的に検出した。

 解析の結果、ツタ状部分ではDNAやタンパク質の合成など生命活動の維持に関わる遺伝子が多く含まれていた一方、房部分で光合成など成長に関わる多数の遺伝子群を検出。各部位が形状だけでなく、機能まで異なることが判明した。

 今後は、健康な海ぶどうで働く遺伝子と生育不良に陥った海ぶどうの遺伝子の比較で、生育不良の原因となる遺伝子の働きの変化を検出できるようになるといい、「水温や塩分濃度の変化に対する遺伝子の働きの変化を研究することで栽培環境の管理方法の開発や改善に役立つ」としている。

 ユニット代表の佐藤矩行教授は「なぜ、たった一つの細胞でしきりのない複雑な形ができ、房部分とツタ部分で全く違う遺伝子が機能するのか。きちんとデータを集めて謎を解明すれば、将来的に新しい産業にもつながる」と期待した。

(写図説明)海ぶどう(OIST提供)

(写図説明)海ぶどう(左)と陸上植物の比較。図中、緑色部分は光合成に関わる遺伝子が盛んに働いている部位、オレンジ色部分はDNAの合成に関連する遺伝子が盛んに働いている部位(OIST提供)