「歴史の節目節目に、具体的に誰かと会うことはすごく意味がある」。牧師の平良修さん(87)はまっすぐな視線で静かに、力強く語った。あの日を彷彿(ほうふつ)とさせた

▼1966年、アンガー第五代高等弁務官の就任式。米軍統治下の最高権力者を前に平良さんは祈りの言葉を述べた。「最後の高等弁務官となり、沖縄が本来の正常な状態に回復されますように切に祈ります」。広く県民の共感を呼んだ

▼祈りの英訳の相談を受けた一人が当時、沖縄で活動していた宣教師のウィリアム・エルダーさん(92)。祈りに賛同した。現在、大阪女学院大の名誉教授で、研究活動の一環で来県。平良さんと50年ぶりの再会を喜び合った

▼沖縄キリスト教学院大では2人並んで講演。平良さんは英訳の相談の際「内容には触れないで」と望んだと明かし「間違っていない。この祈りは祝福される」との信念で臨んだという

▼エルダーさんは沖縄の現状を憂いた。「正常にするべきだ。依然として軍の影響は大きい」。かつて沖縄で活動した際は、県民と行動を共にした。戦争体験もよく耳にした。「沖縄は本当に苦しめられている」と実感する

▼高等弁務官は72年の日本復帰に伴い第六代を最後に廃止された。が、辺野古をはじめ、県内に米軍基地を押し付ける構図は続く。復帰前の県民の苦境は今と重なっている。(内間健)