県は本年度末としていた「待機児童ゼロ」の目標達成を断念し、2年後の2021年度末に先送りする方針を固めた。

 子育て世代には切羽詰まった問題であり、肩を落としている人も多いだろう。約束を守れなかった県の責任は重い。

 20年度から5年計画で進む「第二期子ども・子育て支援事業計画(黄金っ子応援プラン)」策定に向けた作業の中で明らかになった。

 41市町村の保育需要と保育所整備状況などを取りまとめたところ、石垣市と南風原町でゼロになる時期が21年度末になったためという。 

 プランの実効性を高めるため、沖縄振興一括交付金などによる市町村支援が可能な21年度末とする考えも示している。

 当初、県は認可保育所などに入れない待機児童を17年度末までに解消する目標を打ち出していた。現行の黄金っ子応援プラン見直しの中で、19年度末に後ろ倒しとなった経緯がある。

 政府の「子育て安心プラン」は待機児童解消の全国目標を20年度末としており、再度の先送りで沖縄だけが取り残される格好だ。

 すべての子どもは、よりよい保育を受ける権利があり、行政にはサービスを提供する責務がある。 

 昨年の知事選で、公約に「待機児童ゼロの実現」を掲げた玉城デニー知事には、なぜ先送りするのか、その理由をきちんと説明してもらいたい。

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 今年4月時点で県内の待機児童は1702人に上った。前年より168人減ったものの待機児童率は2・80%で全国ワーストだ。市区町村別では南風原町が9・92%と全国一高く、およそ10人に1人という深刻さだった。

 もちろん県や市町村も手をこまねいているわけではない。この5年間で保育所は2倍近い約800カ所に、定員は1・6倍超の約6万人に増えている。しかし増加のスピードに受け皿づくりが追いついていない。

 人手不足の中、働く親が増え、ニーズが高まっていることが背景の一つにある。10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」も影響しているのだろう。エリアによる保育所の偏在も指摘されている。

 希望する保育所を利用できない「隠れ待機児童」を含めたニーズ把握は十分なのか。母親の就労意向が正確に反映されているのか。

 先送りを繰り返す結果となった以上、需要見通しの甘さは否めない。

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 せっかく保育所を作ったのに保育士が集まらず、園児を受け入れられなかったとの問題はさらに深刻である。

 待機児童ゼロは安倍政権の看板政策であり、保育士を確保するための処遇改善は政府の仕事だ。県には保育士資格を持つ「潜在保育士」の復職サポートなどにもっと力を入れてもらいたい。

 政府のゼロ目標までまだ1年以上残っている。

 国と県、市町村が一体となって取り組み、最後まで努力を尽くすべきだ。