「わぁー! 先生、最高に楽しかったわ!」 沖縄県内初、60歳以上でつくるサンバチーム「VIDA SAMBA(ヴィーダ サンバ)」の舞台が終わりました。 満面の笑みを浮かべ、額には、光る汗。キラキラと黄金に輝くスパンコールの衣装に身を包み、ブラジルカラーの黄色と緑の羽根飾りを頭に着けた16人の生徒たちがお互い、ハグや握手を交わし、最高のステージを作る事が出来た喜びを、たたえ合っています。 指導をしている私としては、無事終える事が出来た安堵と、新しい挑戦を形にする事が出来た達成感に満ち溢れた気持ちになりました。 今から約2年前、一本の電話が鳴りました。 「サンバエクササイズの新聞記事を拝見したのですが、例えば60歳以上の方でもこの動きは可能ですか?」。福祉施設のスタッフからでした。 ブラジルでは、それこそ下は2~3歳から、上は80代まで、サンバの音楽が鳴り始めれば、老若男女、世代を超えて、それぞれに合ったサンバダンスを楽しむ習慣があります。 私は「ブラジルでは80歳の方も楽しく元気に踊る方もいらっしゃいますので、可能だと思います」と返答。そして、2014年3月、那覇市福祉協議会の小禄老人福祉センターかりゆしうるくで、「シェイプアップサンバ講座」がスタートしました。 ブラジルでは、サンバは伝統文化として、親しまれている音楽、ダンスですが、ここ沖縄ではまだまだ認知の低い異国のダンス。私も初めて60歳以上の方を教えるということもあって、まずは、サンバダンスが初心者で、運動経験があまり無い方でも楽しく踊れるように、レッスンメニューのポイントを考えました。 (1)陽気で楽しいアップテンポから、しっとりと優しいリズムまで、音楽をバランス良く使う。
(2)個性を尊重し、音楽で体を動かす楽しさを知ってもらう。
(3)円になったり、お互いに顔を見合わせたりと、隊形に変化をつけながら、ダンスで生まれるコミュニケーションを楽しんでもらう。 サンバは元々、振付の無いダンスとして、人々のコミュニケーションの中から生まれました。互いに笑顔で元気に踊れることを、喜び合う要素が強いので、「この形で踊らなければいけない」といった枠にはめてしまうよりも、まずは、自分の個性や表情をたっぷりと体で表現してもらい、心身から健康になってもらうことをコンセプトに、オリジナルでメニューを組み立てました。 もちろん、体力年齢に合った運動指導も大切。使う音楽も、心地良いボサノバのようなスローテンポな曲で柔軟体操を始め、気分も運動量も上がる後半は、カーニバルの音楽を使い、ノリノリな有酸素運動で締めくくる流れにしました。 さて、いよいよ始まったサンバレッスン。生徒の反応を見ながら、音楽を変えてみたり、オリジナルのダンスの振付を教えたり、試行錯誤。そのかいもあってか、レッスンは非常に順調。参加してくれる生徒たちもいつも笑いながら帰っていく姿にホッとして、次のレッスンも頑張ろう、と私の方が勇気づけられていました。最初は10人でも受講してもらえたらいいなと思っていましたが、予想の2倍となる約20人が常に受講してくれるようになりました。 レッスンを進める中、感心したのは、60代ならではの熟練された「表現力」の見事なこと。

【通称「カーニバル」。円になり、サンバダンスでコミュニケーション】
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サンバダンサーの舞台裏 11回目<60代のカーニバル>
2015年3月18日 13:39