米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け、沖縄防衛局が海上作業を再開した2015年1月15日午前。新基地建設に反対する市民を乗せたバスが那覇市と沖縄市から辺野古に向けて出発した。参加費は1人1000円。お金を払い、時間を割いてまでなぜ辺野古に向かうのか。記者もバスに同乗し、取材した。

 正午過ぎ、休憩に入った。新聞紙に包んだ弁当を広げ、仲間と食べていた64歳の女性は、浦添市からの参加だ。「たくさんの人がいて、ここに来る度に元気になる」と表情は明るい。
 なぜ、辺野古に来たのか。
「生まれてから、基地があって良かったことがなかった。新しい基地は困るから、たくさんの人と反対するためにここに来た」
 目の前では、沖縄県警の機動隊と民間の警備員がずらりと並び、市民らは対峙する形で抗議をしている。「抗議の先は、機動隊の後ろにいる日本政府や米国。米兵がらみの事件、事故は絶えないし、騒音もあって生活が落ち着かない。基地がなければ弁当をゲート前じゃなくて、公園で食べられる。そんな当たり前の社会になってほしい」。だから、今日も抗議に来る。
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 帰りの車中。徳森さんが再び、参加者にマイクを回した。
 「西表島から浦添に引っ越してきた。オスプレイが頭の上を飛んでいくのが許せなかった」
 「昨夜のIWJの中継を見ていて、今日は絶対に参加しないといけないと思った。横暴は、許せない」
 「新聞を見て、新基地建設は阻止しなければならないと、わじわじーしていた。毎日バスが出ることで、周りの人にも参加を呼び掛けたい」。
 「国民の税金で基地を造るのは許せない」
 「ヘイトスピーチが耳障り」
 「憲法よりも日米安全保障が優先で、憲法が置き去りにされているのではないか」
 「いずれは、合宿をしてほしい」
 現場で肌で感じたこと、問題提起、に行く思いが次々と出てくる。車内では拍手が鳴り響き、意見が交わされた。
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 バスが那覇に着いたのは午後4時半ごろ。宜野湾市普天間飛行場の周辺で約20年暮らしている國吉真由美さん(45)もバスを降りた。
 生まれ育った沖縄市では米兵の事件があり、宜野湾市ではヘリが落ちた。「どこに行っても何かしら起きる。閉鎖、返還といいながら、基地は沖縄の中でたらい回し。それなら無くした方がいいと思います」。
 昨年の県知事選、「辺野古新基地は絶対に造らせない」との立場を主張していた翁長雄志氏が当選。衆院選では、辺野古移設断念を目指す「建白書」勢力が沖縄選挙区で支持した4人全員が当選した。沖縄の民意は辺野古ノーだ。
 それでも新基地建設を進める「今の政権」が、一番の怒りの対象という。「選挙は負けているのに、それでも関係ないという感じで、がっと(建設を)進めてくる。年々年々、話がきな臭くなっている感じがします」。
 しかし、國吉さんが休日を使ってまで辺野古に行く意味はどこにあるのか。
 「戦争はごめんだからです。おばさんは、沖縄戦でひめゆりの塔の辺りで亡くなりました。今の政治家が戦争に行くワケじゃない。行くのは若い人たち。20年後が怖いです。今、国に戦争をする機会をあおられている気がしていることも怖いです」
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 那覇に着き、バスを下りた徳森さんにも聞いてみた。なぜ、辺野古に向かうのか。「沖縄が好きで、守りたい」からだという。「もっと、たくさんの人を巻き込んでいかないといけない。特に、若い世代の間で政治の話ができる空気はない。おこがましいかもしれないけれど、これから、辺野古に人を呼べるような役割を果たしたい」