社説

社説 [玉城知事が意見陳述] 実質審理に踏み込め

2019年11月27日 08:20

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県の埋め立て承認撤回を国土交通相が取り消したのは違法だとして、県が国を訴えた「抗告訴訟」の第1回口頭弁論が26日、那覇地裁であった。

 「辺野古の埋め立て工事には実に多くの問題があることが承認後に判明した」

 意見陳述で玉城デニー知事はこう前置きし、新基地計画地の大浦湾側に非常に緩い軟弱地盤が広範に分布していることや、埋め立て区域の海底に活断層が存在していること、周辺の建物が米軍の高さ制限に抵触することなどの問題点を挙げた。

 さらに「法令上遵守(じゅんしゅ)すべき義務と責任を果たしていない」と防衛省沖縄防衛局を厳しく批判した。

 埋め立て承認の条件である留意事項「県との事前協議」を無視して全体の実施設計を示さないまま護岸工事に着手したり、埋め立て工事の施工順序を勝手に変更したり、願書の記載と異なる土砂の海上運搬を行ったりしたことを挙げ、「違反行為」と指摘した。

 事業実施前に行うとしていたサンゴ類の移植をせず護岸工事に着手したことなどに、玉城知事は「美しい海で埋め立て工事を行う事業者は環境保全に対する重い責任を負うが、沖縄防衛局はその責任を十分に果たしていない」と訴えた。

 埋め立て工事そのものに加え、工事を進める沖縄防衛局の問題点を列挙し、承認撤回の適法性を示した県の主張は明瞭だった。

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 抗告訴訟は辺野古新基地建設を巡り、県が国を訴え、現在係争中の二つの訴訟のうちの一つだ。

 県に裁判を起こす資格があるかが焦点となり、それが認められれば、承認撤回取り消しの違法性の審理が具体的に始まることになる。

 もう一つの訴訟は、国土交通相が県の埋め立て承認撤回を取り消した裁決は「国の違法な関与」であるとして、県が国を提訴したものだ。福岡高裁那覇支部は、県の訴えは裁判の対象にならないとして却下したが、県は最高裁へ上告している。

 二つの訴訟は法的手続きや論点は異なるが、県が問うているのは、辺野古への新基地建設の適否を明らかにすることだ。

 抗告訴訟の第1回口頭弁論で、国は県の訴えが裁判の対象にならないとして退けるよう求めた。

 国が工事の正当性に自信を持つなら、堂々と中身の審理に応じるべきだ。「入り口」で、その機会が閉ざされることがあってはならない。

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 「県民の民意と本気で向き合い、県民投票で示された未来への願いを正面から受け止めてほしい」

 玉城知事はことし2月に行われた県民投票で、7割以上が辺野古埋め立てに「反対」としたことを挙げ、裁判官や国側弁護人に語り掛けるように訴えた。

 司法は「法の番人」であり「憲法の番人」である。今回の訴訟は「民主主義」や「自治権」を問うものだ。地裁はその視点を忘れず、実質審理に踏み込むべきだ。

 
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