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新たな観光総合指標 前田貴子氏(ゆがふホールディングスCEO代行)

2019年11月27日 14:10
 県が4月に999万9千人と発表した2018年度の観光客数が、大台の1千万人を超えていたことが分かった。全日本空輸が18年7月14日から同年8月31日まで運航していた伊丹(大阪)-石垣線の乗客6240人分が、同社から県へ報告漏れとなっていた。(13日付)

量から「質」へ 議論期待

 観光収入や1人当たり消費額など県の正確な統計は当然ながら、「量より質」に関心を示す業界関係者は多い。観光の量と質の議論を深め、従来の調査項目の細分化や手法・回数を見直し、新たな総合指標の設定を検討してはどうか。

 数字は沖縄観光の恩恵を可視化できる重要なツールだ。より一層質の向上を追求するならば、これまで以上に正確な数字へのこだわりが必要となる。量と質のバランスをどのような規模感とスピードで求めていくかを県、自治体、業界、県民が共有するべきだ。

 入域観光客数が1千万人を超えていたとはいえ、県内ホテルで稼働率が軒並み上がったという話は聞こえてこない。宿泊施設の増加により顧客の分散化が進むが、分析に必要な数字を得にくいのが実情だ。県の「宿泊施設実態調査」では、施設数や客室数を種類別に見られるが、それに民泊は含まれない。急増する民泊施設には「アパートメントホテル」と呼ばれる中~大規模施設も台頭している。今後は宿泊施設数の統計に「民泊」も含めないと数字を見誤るのではないか。宿泊先の多様化と分散化を明確な数値で把握することは、事業者のマーケティングや戦略立案にも重要な意味を持つ。

 一方で、「観光産業実態調査」では、対象8業種の宿泊サービスに民泊も含まれる。調査項目は1事業者当たりの従業員数や平均月額給与、DI数値等が網羅されていて興味深いが、調査の回収目標件数が200件で、県内従事者の全体像を把握するにはサンプル数が少な過ぎる。

 名桜大学の大谷健太郎上級准教授によると、観光の本来の目的は住民生活の質を高めることにあるが、経済効果を実感できるまでにはタイムラグが生じる。高騰する人件費の上昇賃金に県内企業の体力が追い付かない側面もあり、実際にどれくらい影響しているのか、従事者は豊かさを実感できているのか等、観光雇用による経済波及を測り、推移を蓄積していくデータがほしい。

 観光客の満足度調査は充実しているが、地域住民や事業者の満足度の把握も重要だ。県が年4回実施する観光統計実態調査を毎月行い、手法もデジタルマーケティングを活用する等、スピードとサンプル数の両方の追求が望ましい。

ハワイ州政府観光局の2018年訪問者調査レポートは、質を重視するハワイらしく観光収入と1人1日当たりの消費額をメインとする。島ごとの詳細な調査もある。沖縄観光が質をより重視するならば、統計の切り口や優先順位の見直しの議論が深まることに期待したい。                (ゆがふホールディングスCEO代行)

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