竹富町(西大舛高旬町長)は9月議会で「町観光案内人条例」を制定した。西表島での観光ガイド事業について町が基準を設け、新たに免許制を導入するもの。西表島は来夏の世界自然遺産登録を目指す一方、登録によって観光客が増加し環境への負荷が増すとの懸念も根強い。このため町は乱立するガイドの適正化を図ることで自然環境の過剰利用を防ぐとともに、保全活動を促進したい考え。運用のための細かい規則を定め、来年4月から施行する。(八重山支局・粟国祥輔)

ヒナイ川でカヌーを楽しむツアー客=11月、西表島

 県内一の落差55メートルを誇るピナイサーラの滝や国内最大のマングローブ林、イダの浜、旧炭坑跡…。西表島の観光地の大半はこうした自然資源で、観光客の多くは地元のガイド事業者を介してカヌーやトレッキングなどを楽しむ。遺産登録後は国内外からツアー客の急増が予想されている。

 現在、島には約120のツアー業者がいるとされ、ほとんどが個人事業主とみられている。一部の事業者は組合を組織し、資源の適正利用と環境保全のため自主ルールを定めているが、悪質業者によるツアー用具の放置は後を絶たないという。

 無秩序なツアーが広がれば生態系に影響を与えかねない-。町は「利用のルール化」は避けられないとして2017年からガイド事業に関する条例案を検討。当初は「届け出制」を想定し、業者の実態把握などを通して適正利用につなげることを計画していた。

実績や講習必須

 条例案を審議する町の検討委員会はことし5月から3回の会議を経て免許制導入の結論を導いた。町長への申請時に活動実績や保険加入、救命救急講習の受講を証明する文書の提出や、数年おきの免許更新など厳しい要件をガイドに求めている。

 町世界遺産推進室の仲盛敦室長補佐は「免許制にすることで町の責任を明確化させた。免許交付後も必要な研修や指導を徹底し、ガイドの質の向上を図っていきたい」と話す。

 仮に事業者が法令や内規に違反し、改善されない場合は行政指導に基づいて処分し、業者名などを公表する。将来的には刑事罰を設ける方向で検察庁と量刑について相談している。ガイド事業はシーズンごとにそれなりの収入があるとみられ、「ルールを無視して経済活動を優先する業者が出る恐れもある。こうした現状からも罰則を強化していく必要がある」(町)と強調する。

外部参入は困難

 同条例について地元の関係者はおおむね評価する。審査要件に「(島内の)公民館に所属していること」との文言が含まれたことが評価の理由の一つだ。

 同条例は、島外の人でも集落行事に積極的に参加するなど地域への貢献を証明できれば認める方向だ。一方、島に居住できなければ実績が積めない形になっており、事実上、外部からの新規参入が困難な仕組みになっている。

 仲盛室長補佐は、地元ガイドを優遇する理由について安全面の確保を挙げる。「もし遭難が発生したら地元消防団との連携が重要になる。地元ガイドは島の気象条件や危険な場所にも詳しい。やはり地域とのつながりは欠くことができないだろうと検討委員会の総意で決まった」と話した。