各通販サイトは小社の本を一部掲載しているが、どういった基準で掲載/不掲載を決めているかは明確ではない。確実に掲載してもらうためにはサイトとの契約が必要で、金銭的な負担が発生するためになかなか踏み切れていない。ただ、前述のように契約しないからといって商品がまったく載らないということでもなく、

1. 掲載されて購入も可能というケース
2. 掲載されながらも上記のように「版元に在庫がない」という趣旨の文言が付されるケース
3. まったく掲載されていないケース

などがある。

 それで具体的に何が困るのかといえば、「大手通販サイトに無いものは存在しない」と考えて本探しを諦めてしまう利用者が少なくないのである。こうして理由不明なまま誤って表記されることで本が読者の視野から「消えて」しまい、購入の選択肢にさえ上らない。「大手通販サイトからでなければ買わない」という利用者も一定数いる以上、出版社や著者にとっては見過ごすことのできない問題となる。

 一方で、そうした状況を逆手に取って、「版元在庫なし」とされた本を古書として出品・販売するアカウントも多数ある。「希少本」として定価より高く売っているわけだ。もちろん小社では自社ウェブサイト・電話・FAXその他で通販を行っており、注文さえあれば新品を定価で届けられるために、本来より高く「古書」として購入しているユーザーが多いという事態は、やはり歯がゆい(本だけではなく、さまざまな商品で同じようなことが起こっていると推測する)。

 ただ、大手サイトの膨大なデータとユーザー数が大きな武器だというのは間違いない。小出版社はどこも販売戦略と懐事情(宣伝ならびに通販の外部委託予算)との兼ね合いに四苦八苦しながら情報をウェブ発信しているが、大手サイトがそれだけ活用されているのは、情報発信力と利便性がより勝っているからに他ならないのだ。

 例えば先の『消えた琉球競馬』のように全国規模のメディアで取り上げられるようなことがあれば、大手通販サイト経由での注文は目に見えて増え、その規模の大きさを実感させられる。小社では基本的に、大手サイトからの注文は流通業者に委託・発送しているので正確な実数は把握しきれていないが、一冊二冊ではないことは想像がつく。そしてもちろん、小出版社ながら大手と契約して通販ユーザーを広く取り込んでいるところもたくさんある。

 だがそれでも、小社のようなケースで、良い本が「消えて」しまって読者の手に届かないのはとても残念に思うのである。こうした事態に対応すべく、2000年から小出版社・地方出版社が集まって「版元ドットコム」(http://www.hanmoto.com/)という組織をつくり、情報を一元発信する取り組みも行っている。これについても次の機会に紹介したい。

 本を選んで買う場所は、ネットであろうと書店であろうと「多様性の森」であってほしい。その森の中に沖縄の本も並んでいて、誰かの目にふと留まる。そんな機会が増えてほしいと、本を作る者として切に願っている。