2人がどうしてそういう要素を身につけたのかをロジカルで分析できれば人材育成やキャリア形成の分野でヒントも提供できると思うが、人間一人ひとり違うわけで、そう簡単に答えがあるわけではない。

 早川さんは、理解力も早く、状況を察する能力も高い反面、落ち着きが無く、伝えたいことを難しくしゃべるため、あだ名は「教授」。独特のオーラを放ちながら、独自の路線を追求していくタイプだった。そういった傾向があるだけにチームワークなどには興味が無いと思っていたら、周囲がネガティブな発信をし始めた時には、一人ポジティブな思考を披露してみたり、誰もが大変な時、自らが率先して大変な業務を買って出たり、仲間と軋轢が生じた際も、とことん本音をぶつけて不器用に解決しようとしたり、仲間が離脱するような事態になった時も、納得いくまで事務局に理由や背景を確認してみたりと、人間味が炸裂していたのだ。

 また大坪さんに至っては、プランクトンやミドリムシの話について、数時間でも話すことができるし、その興味と引き出しの多さについて、社会人メンターやシリコンバレーで出会った人たちも、笑ってしまうぐらいの熱の入れようだった。本人はビジネスに興味など無いが、その熱烈なのめり込み具合は、ビジネスの世界では大切な要素。どんなに投資家に突っ込まれようと、メンターにアドバイスされようと軸がぶれない言動は、ある意味レアだった。そんな彼女も、仲間に対しての思いやりや、いざという時の踏ん張りなど目を見張るものがあり、好きなことだけをやってりゃいい、ということではなく、言うことも言うが、根性ある行動で周囲を巻き込んで納得させていくタイプなので人間的魅力もあって、凄いのだ。

 frogsでは今期、10人の学生をシリコンバレーに派遣した。横並びの学校教育から飛び出し、今までとは違う価値観をインプットし、派遣の前後では、大なり小なり誰もが変化の跡があった。ほかにも成果を紹介したい学生が何人もいる。でもあえて今回は2人を紹介した。マーケットに高く評価されたから、スポットを当てたまでだ。これもfrogs流。これって社会に出れば当然なことだから。frogsはあくまで民間の人材育成。どうなりたいか、どうしたいかという主体性や積極性を重んじ、どんどん機会を提供し、特別扱いして引っ張り上げてきた。「不公平こそ公平」という考え方だ。

 インターネットの発展により個人がメディアになれる時代になった。それはまだ10代の若者ですら例外ではない。「何がしたいかではなく、何をしたか」を発信するスキルが重要な時代に突入したということ。それも、何がしたいという希望や夢を言うだけでなく、夢の実現に向け、どう学び、経験値を積み、本気で取り組んでいるか否かが重要だ。逆にそれができていれば“就活”なんていう横並びの集団行動も必要ないし、企業にへつらう必要もないわけで、選ばれる側から選ぶ側へ立ち位置を変えることができる。

 ちゃんと発信できている学生と企業は、すでに直接つながり始めている。企業も世界レベルのサバイバル競争に勝つために尖った人材を求める。表には出てこない人材マーケットの中で個別に採用が決まっていく時代に突入している。世の中の常識に縛られて集団就活などしていると、“その他大勢”に自ら同化することになるわけで、せっかくの個をつぶしかねない。

 学校教育で、早期に「好きになる力」や「創造する力」が身に付くような仕組み作りが急務だ。教える側のスキルも問われるが「集団教育」から「個別教育」への舵取りが必要な時期になってきていると強く感じている。学校教育やキャリア育成が従来のやり方から大きく変化した時に、私たちRyukyufrogsは役割を終えるのかもしれない。その日が早く来ることを願って、これからも民間ならではのリーダー人材育成を推進していきたい。