[命ぐすい耳ぐすい 沖縄県医師会編](1213)

甲状腺の炎症や腫瘍

 首前方の痛みや違和感を覚えたことがありますか? 原因として考えられる、甲状腺にまつわるお話しをします。

 甲状腺は、喉仏の下にあってチョウが羽を広げたような形をしています。そこでホルモンを作り、エネルギーをコントロールしています。ホルモンが増えすぎると、ドキドキ・イライラしたり、食欲は増しますが痩せていきます。逆にホルモンが減ってくると、倦怠(けんたい)感・やる気の低下・食欲低下やむくみ・体重増加をきたします。

 甲状腺の病気である、亜急性甲状腺炎・橋本病急性増悪・甲状腺腫瘍・甲状腺のう胞内出血などが、首前方の痛みや違和感を起こします。

 亜急性甲状腺炎は、原因不明の(一般にウイルス説)甲状腺を破壊するような炎症の病気です。風邪をひいた数週間後に起きることが多く、軽い痛みから触れるのもつらい激痛まで程度はさまざまです。痛みに一致して甲状腺が腫れます。鎮痛剤やステロイドホルモン剤の内服で痛みや炎症は改善します。甲状腺ホルモンは、一過性に増えたり減ったりして、半年前後で正常化します。

 橋本病急性増悪は、橋本病(慢性甲状腺炎)を持っている方にまれにおこり、激しい炎症・激痛と甲状腺の腫れが特徴です。通常、ステロイドホルモン剤を長期に(半年以上)内服することで改善しますが、改善しない場合は手術で摘出することもあります。

 甲状腺腫瘍や甲状腺のう胞(液体の袋)の多くは症状がありませんが、かなり大きくなると違和感を覚えたり、場合によって飲みこみに影響します。のう胞内で出血すると短時間で急な腫れや痛みが出てきます。その場合、経過をみるか針を刺して液を吸引することで症状を和らげます。腫瘍ものう胞も、超音波検査(エコー)で検査をして詳しい検査や治療方針を立てていきます。

 首前方の痛みや違和感が関連する病気はいろいろありますが、甲状腺が関わることも覚えておくと良いでしょう。(幸喜毅 名嘉村クリニック 浦添市