万引で摘発される高齢者が増えている。県内で万引摘発者に占める65歳以上の割合は、2009年18・7%から18年29・9%に上昇しており、県人口に占める65歳以上の割合(21%)に比べても高い。

 高齢者の万引の背景にあるのが「孤独」だ。県警が16年1~3月に摘発した65歳以上へのアンケートによると、約7割が、支払うだけの所持金がありながら万引していた。

 沖縄刑務所(南城市)で受刑中の70代男性は仕事のために単身赴任となった後、万引や空き巣、置引に手を染めた。受刑生活を繰り返すうちに家族と疎遠になり、さらに万引を重ねた。社会との断絶や自分へのあきらめなど、経済的な困窮だけではない理由が浮かび上がる。

 「ついつい盗んでしまう」など衝動を抑えられない姿もうかがえる。県外出身の70代男性は、ある日、持ち合わせが足りず万引した。そのうち「ばれなければ大丈夫」と思うようになり、犯罪へのハードルが低くなったとする。

 専門家は万引常習者について、誰とも話さない人や、未婚・離婚・死別などで独居の割合が高いという特徴を指摘する。

 年齢にかかわらず家族や他者から自分への関心を感じることができれば、犯罪の抑止力になる。一方、孤独で人とのつながりがない人は犯罪に手を染めやすくなる。

 県内の高齢受刑者の証言からは、万引が、社会とのかかわりを求める「代償行為」の一つであることがうかがえる。社会全体で高齢者の孤独と向き合う必要がある。

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 こうした高齢者による犯罪の増加は、全国的な傾向でもある。法務省がまとめた2018年版「犯罪白書」では、全体の犯罪認知件数が15年連続で減ったものの、刑法犯で摘発された65歳以上の割合は8年連続で過去最高を更新した。70歳以上の割合は20年前に比べ7倍の15%で、摘発者の高齢化も進んでいることが明らかになった。

 高齢者の犯罪の7割が窃盗だ。全国の裁判所で窃盗で有罪が確定した高齢者354人を分析した同省の調査によると手口の85%は万引だった。

 高齢者の犯罪の特徴の一つとして再犯率の高さが挙げられる。同省の調査では、万引で摘発された高齢男性の64・9%、高齢女性の55・9%に窃盗の前科があった。非高齢者は男性32・2%、女性51・9%が初犯であり、違いは一目瞭然だ。

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 東京都の調査からは、万引で微罪処分となった高齢者の希薄な人間関係が浮かび上がる。「同居者なし」は一般高齢者14・1%に対し、高齢被疑者は46・4%。「1日中誰とも話さないことがある」も一般高齢者13・6%に対し、高齢被疑者は44・6%と圧倒的に高かった。

 高齢者は、刑務所を出所しても受け入れる家族や場所がない人が多い。再犯防止はもちろん、そもそも犯罪に手を染めずに済むよう、福祉をはじめ高齢者が社会とかかわることができるような仕組み作りが求められる。