言葉が出ない。客席に腰掛け、「仕事」と称してこの映画を見ている自分が、傲慢(ごうまん)でインチキで、怠け者なんじゃないかと思えてくる。

作兵衛さんと日本を掘る

 炭坑で地を這い、暗く細く暑い穴の中をひたすら掘り進める仕事。掘って集めて運んで、また掘って。命の保証がないほどに危険で過酷。でも生活するためにはそんなことも言っていられなくて。女性も毎日重い石炭を運ぶ。

 人間の文明的な生活の、根底を支える彼らの仕事に、彼ら以外の全員が支えられている。それなのに、彼らの生活は豊かさとはほど遠く、生きるために命を削る毎日。

 「作兵衛さん」は、元炭坑夫の画家。子や孫に自らの体験を伝えたいと絵筆を握り、鮮やかな炭坑夫たちの絵を、2千枚以上も残した。彼らがいなければ今の日本はない。それなのに私は彼らの「仕事」を全然知らなかった。

(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場であすから