来年4月から地方公務員制度が変わり、自治体の判断で非正規職員にも期末手当(ボーナス)を支給することが可能になる。しかし正規職員に比べ月給が低い状況は変わらず、収入格差は続く。任期は原則1年のため、雇用の不安も大きい。

自治体で働く非正規職員の主な職種と平均月給

自治体の非正規職員数

自治体で働く非正規職員の主な職種と平均月給 自治体の非正規職員数

「現場を知っているのは非正規なのに」

 「やりがいだけを糧に働いてきたが、収入が低過ぎる。将来を考えると不安だ」。千葉県内の自治体で非正規の図書館司書として働く男性(40)は嘆いた。10年以上、週4日パートタイムで勤務。昇給はなく年収は200万円以下という。

 来年度からはボーナスが出る一方、月給がカットされるため、年収が増えるかどうかは見通せない。「正規は数年で異動する。現場をより詳しく知っているのは非正規なのに評価が低い」と悔しさを口にした。

 非正規職員は2016年の総務省調査で64万人を超え、自治体運営に欠かせない存在。同省はボーナスの支給で「年収が数万円から数十万円アップする」と見込む。

 これに対し、自治労総合労働局の森本正宏局長は、司書の男性のように手当を支給する代わりに月給を減らし、人件費を抑える自治体が多いと指摘。「同一労働同一賃金の原則はどこにいったのか」と憤った。

「貯蓄少なく1年ごとにクビ切りにおびえる」

 非正規職員が最も懸念するのは不安定な雇用だ。来年度以降も、1年単位の有期雇用は変わらない。公務員には労働契約法が適用されず、更新を重ねて5年間働いても民間企業のように無期雇用には転換されない。自治体の都合で雇用を打ち切る「雇い止め」に遭う可能性は残ったままだ。

 「貯蓄も少なく、老後に不安がある中、1年ごとにクビ切りにおびえることになる」と話すのは、東京都内の区立保育園で15年間働く伊藤信子さん(67)。20年以上、千葉県内の公立図書館で働く女性(56)も「とにかく雇用への不安が大きい」と打ち明けた。

 公務員制度に詳しい地方自治総合研究所の上林陽治研究員は、ボーナス支給だけでは処遇は大きく変わらないとして「経験豊富な非正規職員などを、正規として積極的に登用できる仕組みが必要だ」と訴える。

 だが総務省は「情実人事を防ぐためにも、公務員試験の合格者が正規職員となるべきだ」との考えを崩さず、実現は困難なのが実情だ。

[ことば]自治体の非正規職員 総務省は臨時・非常勤職員と呼んでいる。「特別職非常勤職員」「一般職非常勤職員」「臨時的任用職員」のいずれかで雇用されることが多い。地方自治法の規定で、非常勤職員には期末手当が支給できない。事務職員なのに特別職で雇用され、守秘義務が課されないという問題もあった。これらをクリアするため2017年に地方自治法と地方公務員法を改正し、非常勤職員や特別職に該当しない一般職の「会計年度任用職員」を新設した。来年4月に施行され、大半の非正規職員が移行する。