西原町の金城裕子さん(64)は約20年前、肝臓がんで闘病していた母孝子さん(享年70)を在宅でみとった

▼アドベンチストメディカルセンターに入院していたが、最期の6日間、主治医の協力で、希望通り今帰仁村の親戚宅で過ごし安らかに息を引き取った。「その人らしく生きるために今を支えたい」。金城さんは現在、同センター緩和ケア病棟のボランティアを束ねる立場で患者や家族に寄り添う

▼終末期にどんな医療やケアを受けたいかを事前に家族や医師と話し合うよう啓発する厚生労働省のポスターが批判を浴びている。チューブを付けて苦しそうに横たわる患者を演じたのは、お笑い芸人の小籔千豊さん

▼「俺の人生ここで終わり? 大事なこと何にも伝えてなかったわ」で始まり「『人生会議』しとこ」と呼び掛ける。がん患者団体から「不安をあおる」などと批判を受け、同省は自治体への発送をやめた

▼闘病に直面していない層へのインパクトを狙ったにしても、多くの人が目にするポスターとして当事者への配慮を欠いた。母親を亡くした際、何もできなかったことを悔やんだという小籔さんの経験も反映されていない

▼金城さんは「納得の時間を過ごすことが患者や家族にとって大切」と語る。誰にでも訪れる最期の時。人生会議の趣旨をちゃかさずに伝えるべきだった。(大門雅子)