今後5年間で取り組むべき子どもの貧困対策の基本方針を示した新たな大綱が閣議決定された。

 貧困の現状や対策の進み具合を検証する指標を増やし、全国調査の実施に踏み込んだのが大きな特徴だ。 

 ただ改善に向けての数値目標は、今回も盛り込まれなかった。「貧困の連鎖を断ち切り、全ての子どもが夢や希望を持てる社会」への道筋は必ずしも明確ではない。 

 政府が5年前に初めて策定した現大綱には「子どもの貧困率」や「生活保護世帯の子どもの大学等進学率」など25の指標が使われている。

 見えにくいとされる貧困をより多面的に把握するため、新大綱には「ひとり親の正規雇用割合」「公共料金の滞納経験の有無」などが追加され39指標となった。

 新指標に盛り込まれた電気料金の滞納経験は、子どものいる全世帯が5・3%だったのに対しひとり親世帯は14・8%、食料が買えなかった経験は、全世帯の16・9%に対しひとり親世帯は34・9%と高かった。

 より厳しい状況にあるひとり親家庭に焦点を当て、生活に関わるデータに着目したことは、相対的貧困の可視化を促すのではないか。

 核家族化に加え、人間関係の希薄化、自己責任論の根強さなどから貧困世帯は孤立しがちである。 

 自ら訴えることができない子どもたちが取り残されることがないよう、支援を必要とする家庭を早期に見つけ、対策につなげてもらいたい。

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 現大綱策定以降、子どもの貧困率は16・3%から13・9%に減少、生活保護世帯の子どもの大学・専修学校進学率は32・9%から36・0%に改善している。

 しかしいまだに7人に1人の子が困窮した生活を送り、ひとり親世帯では2人に1人という深刻な状況がある。生活保護を受給している世帯の大学などへの進学率も全世帯の半分に満たない状況だ。

 ひとり親世帯の「命綱」といわれる児童扶養手当も拡充とはいうものの、第1子に比べ、第2子、3子が低額なのは制度設計に問題があるからではないか。

 日本の教育への公的支出が、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最低水準にあることはよく知られている。直近の調査でも35カ国中35位だった。

 この間に講じられた対策の効果はどうだったのか、しっかり検証する必要がある。

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 注視したいのは、来年度にも実施される子どもの生活実態に関する全国共通の調査だ。自治体ごとに比較分析し、取り組みを後押しするという。

 新大綱は「沖縄における施策の推進」にも触れ、「深刻な実態を踏まえ検討を進める」と記す。全国の2倍近い子どもの貧困率を考慮してのことだろう。

 就学援助制度の認定基準や子ども医療費助成制度の対象は、自治体間で大きな差があることが分かっている。

 全国調査を踏まえた上で、国のリーダーシップで、育ちの土台を整えるべきだ。