【南部】島尻消防組合消防本部(沖縄県南城市)が男性司令補に下した懲戒処分が11月19日付で県人事委によって取り消されたことを皮切りに、同本部で過去にあった暴力や賭けなどの問題が相次いで表面化した。これまでの組織上層部の姿勢に不満を持つ職員らが断続的に外部へ訴え。「縦社会」「消防組合」という構造の特徴も自浄作用を妨げたともみられ、識者は「個別の問題以上に、組織として体をなしていないことが問題に見える」と指摘した。

島尻消防組合消防本部のさまざまな問題発覚を受けて開かれた臨時の正副管理者会議=3日、南城市玉城屋嘉部・同本部

 発端は司令補の処分取り消し裁決。裁決書では職員同士のメールに触れられ、上層部へ不満を持つ職員が一定数いることも判明。

 その後、2017年の暴力行為や賭け、13年の昇任・昇級の「飛び級」問題などが明るみに出た。

 同本部はこれまでの取材で指摘された問題については処分、規則改正などで対応していると説明。ただ、今年10月の救急記録表の書き換えについては「改ざんでなく修正」と否定した。

 3日、同本部幹部と管理者の瑞慶覧長敏南城市長らが出席する臨時の正副管理者会議を開き、第三者委員会の設置を決定。

 瑞慶覧市長によると会議の中で過去に書き換え指示の疑いがある記録表が1件あることの説明を受けたという。同消防は会議後「個別に検証しないとすべての記録表で改ざんがなかったと言い切れない」とした。

 消防の活動記録は事実に合わせて事後修正されることもあるが、一般的に行われている修正か、意識的な改ざんかは今後、第三者委で調査される予定だ。

 上下関係が厳格になりやすい消防組織は全国でもパワハラなど多くのトラブルがある。労働組合をつくる団結権がなく、職員は不満を訴える手段が限られる。同本部の場合、監督機関が南城市と八重瀬町にまたがり、監視の目が行き届きにくかったとも考えられる。

 ある職員はそれぞれの案件を深刻視しながら、職場内の不協和音について「仕事上ぶつかった感情が消化しにくい環境かもしれない。全員がその時の職務をまっとうしていれば問題も非を訴え合うことも起きなかったと思う」と語った。

 熊本学園大の遠藤隆久教授(労働法)は「多くの問題が発生し、内部から次々と訴えが出る状況は組織の質の問題。自治体は立て直しを図る責任があり、しっかりと第三者委をつくって再発防止に努めるべきだ」とコメントした。(南部報道部・松田興平)