県出身の歌手Coccoが10作目となるアルバム「スターシャンク」を10月にリリースした。6日には宮城県を皮切りに全国6カ所でのツアーを開始する。時に辛辣(しんらつ)な歌詞を美しい楽曲と歌声で響かせ、聴くものの心をとらえ続けてきた表現者は、デビューから22年を経てなお歌い続ける原動力を「次世代のため、沖縄のため」と語る。

新アルバム「スターシャンク」について語るCocco=沖縄タイムス社

 前作「アダンバレエ」から3年ぶりの本作はデビューから数々の名曲を作り出してきた盟友・根岸孝旨をサウンドプロデューサーに迎えた。「シャンク」はアクセサリー製作で「繋(つな)ぐ」を意味する。「光を繋いで、みんなで生きていけますように」との願いを込めた。ミュージックビデオに若い映像クリエーターを起用するなど新しい試みにも力を入れた。「大人になり自分のために歌う力はもう残っていない。誰かのため、沖縄のために歌っているかもしれない。(音楽活動など)身にあまる経験をしてきた実感がある。そのバトンを若い人に渡したい」と意図を語る。

 アルバム2曲目の「2・24」は名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否が問われた県民投票の日を表している。デビュー当時は「『沖縄人』としてNOと発信すれば世界を変えられると信じていた」。変わらない現実に対しては「皮膚を厚くして鈍感にする」しかなかった。子どもが20歳を超えて感じることもある。「若い人の柔肌は敏感で、傷つくことも分かっているけど、期待もしている。彼らが『変えられる』と思うことは全力で応援したい」。

 2年前の20周年ライブ以降「もう表舞台には出たくない」と感じていた。昨年には「手触りを感じられるものをファンに届けたい」との思いでアパレルブランドを立ち上げ、ことし9月には友人の出産に合わせて制作した絵本「みなみのしまのはなのいろ」を出版するなど活躍の幅も広げてきた。

 しかし、音楽以外のセカンドライフを求めても結局「刺激を受けて歌が生み出されてきた」。平たんではなかった歌手活動を「(音楽活動から)逃げては帰ってきてを繰り返してきた」と述懐する。それでも、沖縄で起こる基地問題などの不条理についても自分なりの方法で向き合い続けている。「絶対にきれいな声で歌い続けたい。そうすれば足を止めて、耳を傾けてくれる人がいるから」。

 「スターシャンク」(通常版)はビクターエンタテインメントから3300円(税込み)で発売。