スポーツ面の連載「決断」は今年でプロ野球を引退した選手を取り上げている。けがと闘い、高みに挑み、足跡を刻んだ名選手たち。一方で結果を残せず、ユニホームを脱ぐ決断をした選手もいる

▼元ソフトバンク投手の島袋洋奨さん(27)もその一人。2010年、興南高校のエースとして県勢初の甲子園春夏連覇を引っ張った。大学を経てプロ入り後は左肘痛に苦しみ、手術もした

▼ここ2年は育成契約。3桁の背番号を付け、再起を懸けて腕を振り続けたが壁は厚かった。5年間で1軍登板は2試合のみ。「私の財産になった」と振り返ったプロ生活には、もがきながらも、その時々でやるべきことをやりきった思いがにじむ

▼県民を熱狂させた高校時代に取材した。真っ先に思いだすのは甲子園の晴れ舞台、ではなく冬場の光景だ。一通りの全体練習が終わり暗くなったグラウンドで、段差の大きな階段を片脚で上がるトレーニングを繰り返していた

▼ピンチでめっぽう強かったのも、偉業を成し遂げられたのも、あれだけの努力を重ねてきたのだからと納得した。プロで苦闘した経験もこれからの糧になるだろう

▼島袋さんは都内のスポーツ関連会社に就職し、第二のスタートを切った。将来は指導者として沖縄に戻りたいという。「人生のスコアボード」はまだ序盤。夢は続く。(大門雅子)