社説

社説[臨時国会閉幕]「1強政治」の劣化進む

2019年12月11日 09:21

 野党議員の質問に正面から答えず、ごまかしたり、はぐらかしたりする政権の姿勢が極まった国会だった。政治は劣化し、「言論の府」は機能不全に陥り、三権分立は破綻の危機にひんしている。

 臨時国会が閉幕した。

 安倍晋三首相は閉幕後の記者会見で、後半国会最大のテーマとなった「桜を見る会」について、招待者が膨れ上がったことなどを「大いに反省する」と述べたが、疑惑の核心には触れずじまいだった。

 首相主催の桜を見る会を巡る問題は多岐に及ぶ。

 まず焦点になったのは税金で賄われる公的行事に、首相の後援会関係者が多数参加したことである。「功績、功労のあった方々」という招待基準の無視は明らかで、私物化との批判は免れない。

 さらに預託商法を展開し破綻した「ジャパンライフ」の元会長が招かれ招待状が宣伝に利用されたことや、反社会的勢力が参加した疑いももたれている。

 真相解明に必要な招待者の全容が明らかにならないのは、内閣府が野党議員から資料要求のあった直後に名簿をシュレッダーにかけたためだ。なんとも釈然としない話である。

 後日、バックアップデータが残っていたことが分かったものの、政府は「バックアップデータは行政文書に該当しない」と詭弁(きべん)ともいえる説明を繰り返した。

 疑惑を解明したいという意思があれば、首相自らがデータの復元などを指示することもできたはずだ。

 おざなりの対応に終始する姿は、説明責任からはほど遠い。

■    ■

 政治とカネの問題を巡り、10月に辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の疑惑も解明されないままである。

 辞任に際し「説明責任を果たしたい」と述べた両氏だったが、その後、国会を欠席し続け、約束は果たされていない。

 不適格な人物を大臣にした任命責任は首相にある。「任命した者として責任を痛感している」と反省を口にした以上、本人に説明するよう指導するのが責任を取るということではないか。

 政府に自浄能力がないのなら、問題を指摘し監視するのは国会の役割だ。

 野党が申し入れた臨時国会の会期延長を与党が突っぱねたのは、疑惑に向き合おうとしない「言論の府」の劣化である。

■    ■

 閉幕を受けての記者会見で首相は、憲法改正について「必ずや私の手で成し遂げていきたい」と改めて強い意欲を示した。

 共同通信社が11月下旬に実施した全国電話世論調査で、桜を見る会に関する首相発言を「信頼できない」と答えた人は7割近くに上った。

 森友、加計学園問題の時もそうだったが、これら問題が浮き彫りにするのは、公的な情報を隠し、責任を曖昧にする政権の体質である。

 安倍政権の姿勢に世論の厳しい目が向けられている。疑惑を晴らす努力をしない首相に、改憲を語る資格はない。

 
前の記事へ 次の記事へ
沖縄関連、今話題です(外部サイト)
JavaScriptをOnにしてください
きょうのお天気