◆県歯科医師会コラム・歯の長寿学(291)

 先日、患者さんから入れ歯を作りたいとの連絡がありました。痛いとか壊れたなどの理由があるか聞いたところ、不具合はないと答えられ、なぜ?と質問したら「消費税が上がるから予備で作っておきたい」と答えられましたが、保険診療において消費税の影響はないですが、自費診療の場合は関係があるかもしれないと説明しました。

 入れ歯を作るには、まず全体的な型取りをすることから始まります。これは残っている歯が少なくなるほど困難となり、特に総入れ歯になると歯科医師も患者さんも双方ともに大変です。

 その次の工程は、噛(か)み合わせの高さを測定することです。これも個人によって高い方もいれば低い方もいてさまざまです。

 高さが記録できたら、今度は実際に人工歯を並べてみて、歯の色調や形態を患者さんと一緒に確認します。その際、少し合わない、高さがずれている場合は、再度、並べ直します。次がいよいよ完成となるのですが、完成したからといって、すぐに何でも食べられるというわけではありません。どうしても、見た目もきれいで、装着感も良いのに、噛むと痛い、長時間入れられない等々の不具合がおきます。

 義手とか義足と同じと考えてほしいのですが、いかんせん義歯は、軽んじられてしまいがちです。義手や義足で、当日から問題なく歩けたり、つかんだりすることは、なかなか難しいと思われます。やはり、慣れるまでそれ相応の時間や調整等が必要です。

 特に、初めて入れ歯を入れる方の感じ方はさまざまで、すぐに使えるようになる方もいれば、どんなに時間をかけて調整してもまったく使えない方も多々います。

 極論ですが、どうしても装着できない場合は、無理せず使用しないで、食物の形態を工夫して食事をするという選択肢もありますが、なるべく自分の歯で食事ができるように、虫歯や歯周炎で歯を失わないように、かかりつけの歯科医院に相談されて下さい。

                 (久手堅淳 くでけん歯科 沖縄市)