行列が絶えない東京の台湾茶専門店は、注文表に「パール」としか書いていない。最初は一瞬戸惑ったが、丸々とした形や黒光りする輝きは、真珠の呼び名が言い得て妙だ

▼今年は、街を歩けばタピオカ入りドリンクを見かけた。6歳の息子が出掛けるたびに飲みたいとせがむくらいだから、新語・流行語大賞トップ10に「タピる」が入るのも、うなずける

▼タピオカは、南米原産のキャッサバ(芋)の根茎から取ったでんぷんが原料。その名の由来は、ブラジルの先住民のトゥピ語で、でんぷんの製造法を意味する言葉からきているらしい

▼今が第3次ブームといわれるが、実はもっと昔から私たちの身近にあった。小学校や幼稚園でよく見かける文具メーカー「ヤマト」の「ヤマト糊(のり)」は、誤って幼児が口にしてもいいように、タピオカのでんぷんで作られている

▼沖縄では琉球王朝時代の宮廷料理「西国米(しーくーびー)」で使われた。しまくとぅばで「キーウム」と呼ばれるキャッサバのでんぷんを丸めて砂糖水につけ、食後のデザートとして振る舞われた。戦前・戦後の食糧難では貴重な栄養源でもあった

▼流行語大賞にランクインすると、翌年は姿を消すものも往々にしてある。タピオカは果たしてどうだろう。沖縄からすると、はやり廃りというより、食文化を支えた定番食材に思える。(西江昭吾)