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「陸自配備へ思惑拭えない」「全国に恥さらす」 石垣市の自治基本条例 廃止への動き 専門家の見方は

2019年12月14日 20:00

佐藤学氏(沖縄国際大学教授)

 与党市議における陸上自衛隊配備への思惑は払拭(ふっしょく)できず、条例にある住民投票の存在そのものを消失させる狙いが背景にあるとしか言わざるを得ない。防衛対策に「国の専権事項」を強調して地域が反対すべきではないとの考え方は市議の責任放棄で民意を奪っている。

石垣市自治基本条例について「廃止すべきだ」と報告する市議会調査特別委の友寄永三委員長(壇上)=2日、石垣市議会

 秋田市への陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画が争点になった今年7月の参院選では、配備に反対する候補が勝利したことで国防に反対する民意が示されたケースとなった。国が石垣市をどうするかの前に市民が島の将来を議論、判断する「自治」が重要だ。

 一方、市議会議会運営委員会に提出された条例廃止の理由で「社会情勢の変化や二元代表制の円滑な運用に有用な条例ではない」とあるが、具体性に欠ける。二元代表制を理由にするのであれば自治の主権者である市民に諮るべきであり、廃止への議論が尽くされたのか検証もない。市議会として条例に合意したのであれば市議会が本来の責任を取るべきではないか。

 条例の運用や考え方、市民への広まり方も含めた議論が先。県全体の自治に関わる問題だ。(談)

水澤雅貴氏(NPO公共政策研究所理事長)

 われわれの調査で自治基本条例は全国で377自治体(今年8月現在)が制定している。各自治体では条例を補完する条文改正はあるが廃止した自治体はなく、突然の石垣市議会の判断にあぜんとしている。

 「自治」というのは自分たちのことを自分たちが決めるということ。これを否定することは市議も自らの存在を否定することになる。廃止の理由に調査特別委員会は議会報告で「市民の定義」を挙げているが、島を訪れる観光客も含めて市に関わる全ての人々が幅広く意見を出し合い、島の方向性と将来性を考えることが自治の土台だ。

 2年半かけて作り上げた条例を約5時間の議論だけで廃止するのは考えられない。住民投票への影響が見え隠れしているが、市民を含めた議論が必要。市議の都合が悪いと判断された他の条例も次々に廃止されかねない。市議の権力乱用で危機的状況にある。

 市議は条例に明記されている「市民の意思の反映」に務め、市民へ説明した上で廃止の可否を判断すべきだ。市民の権利は奪われ、意思表示は選挙だけに限られれば健全な民主主義はない。この問題は全国に恥をさらすようなものだ。(談)

 
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