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「対立を深めただけ…」感情論が先行した石垣市議会 影を潜めた“自治”議論

2019年12月17日 10:37

 自治体の「憲法」と呼ばれる石垣市自治基本条例の廃止を巡る市議会の混乱は、廃止条例案の否決で幕を閉じた。自らの意志で決める「市民の自治」の議論は低調で、採決までの賛否討論は感情論が先走り、出口が見えないまま僅差でかろうじて守られた。自治基本条例を根拠にした住民投票に対する主張や地方自治法に関連した論戦は影を潜め、与野党ともに「十分な議論ができなかった。対立を深めただけ」と下を向いた。(政経部・砂川孫優)

石垣市自治基本条例を廃止する条例案の採決で与党市議10人が起立したが、賛成少数で否決された=16日、石垣市議会

◆強気の姿勢から一転

 16日の市議会最終本会議で、自治基本条例を廃止する条例案の議案審議を直前に控えた自民系与党の1人は、「(廃止は)難しい」と頭を抱えた。採決当日まで与党内で廃止条例案への賛成者が足りず、これまでの強気の姿勢から一転して消極的な声を漏らす。

 自民系市議は会派代表者会議で、「廃止条例案の取り下げ」を求めて最後まで態度を保留していた与党の箕底用一氏(未来)に照準を絞って調整したが、妥協案を示せずに決裂。廃止に否定的な見方を示していた石垣達也氏(公明)も唐突な廃止条例に反対姿勢を崩さずにいた。

 歩み寄りをさらに遠ざけた決定的なシーンがあった。質疑で提案者の石垣亨氏(自由民主石垣)が野党の質問に対して、「条例がなくなったとしても住民には関係ない。不要なもの」と言い放った場面だ。議会が紛糾するなか、両者の決意は確固たる意志に変わり、採決で反対を示した。

◆市民意見を踏まえて

 一方、感情論の質疑に野党の花谷一郎氏(ゆがふ)は議会終了後、「地方自治や民主主義が『何か』が議論されていない」と振り返る。議員主導による条例を廃止する動きに「直接関わる市民が不在のままで進行した結果。自治基本条例は市民、議会、市と共有することが重要」と話した。

 条例を読み込み、市民と議会を交えた議論の必要性を強調した石垣達也氏は「与野党で今の条例の問題点を洗い出し、市民意見を踏まえて見直すのが重要」と指摘。今後の見通しには「今日のような議論では市民に、議会は横暴としか映らない。市民の権利が政争の具にならないように市議会の役割が重要」と今後の課題を抱えて議場を後にした。

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