社説

社説[石垣市自治条例]廃止案の否決は当然だ

2019年12月17日 09:51

 石垣市自治基本条例を廃止するための条例案が16日、市議会12月定例会最終本会議で採決され、賛成10、反対11の賛成少数で否決された。

 2009年に県内で初めて制定された自治条例はかろうじて廃止が回避された。

 自民系与党議員らが提案したが、与党非自民議員2人が反対に回った。2人は「議論が深まっていない」「まちづくりに向けての新たな提案がなかった」と理由を述べた。筋の通った判断である。

 3月に設置した調査特別委員会も与党議員ばかりの構成で、早々と「廃止」の結論を出し、提案した。

 住民を蚊帳の外に置いたまま、数の力で廃止しようとした強引なやり方は批判を免れない。与党から2人が反対に回ったことからも分かる。

 採決が近づくにつれ、住民らも危機感を募らせ、市民集会を開くなど、制定当時の市幹部や元琉球大教授らを招き、学習を深めた。採決の日は傍聴席が埋まり、否決されると拍手が起きた。

 成立当時、幅広い市民が石垣市の将来を考え、意見を出し合い、条例をつくり上げた経緯と比べると、今回は与党議員らの「廃止ありき」の提案だったというほかない。廃止を提案するにしても制定当時と同じように住民に理由を説明し意見を聞くべきだったのにそれもしなかった。住民をないがしろにするものだ。

 与党議員らは廃止後のあるべき住民自治の姿を示すことができなかった。見直しには審議会設置が義務付けられている。まして廃止である。より慎重な手続きが必要であり、否決は当然である。

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 気になるのは、全国で自治条例を「廃止」する動きと軌を一にしていることだ。「自治基本条例に反対する市民の会」の会長が先月、石垣市を訪れ講演した。

 この中で会長は自治条例を「百害あって一利なし」と断言し、住民投票も「やれば当然(反対が)多くなる」と主張した。講演には自民系与党議員らが参加していた。

 自治条例廃止の狙いは「住民投票つぶし」と受け止められている。石垣市平得大俣への陸自配備計画の賛否を問う市提出の住民投票条例案が市議会で否決された。

 市住民投票を求める会の若者らが集めた1万4千筆余の署名は有権者の約4割を占め、4分の1を上回る。自治条例では4分の1以上の署名で、市長に住民投票を請求することができ、市長は実施しなければならないと定めている。住民投票の実施義務付けを求めて提訴し係争中だ。

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 否決されたとはいえ1票差である。与党議員らは「市内に住み、働き、学び、活動する人」との市民の定義を問題にした。地方自治法では地域に住居がある者は外国人も住民登録の有無にかかわらず住民である。二元代表制の円滑な運用に必ずしも有用な条例ではないとも主張したが、行政監視の役割を自ら放棄するようなものだ。与党議員には独善的なやり方で廃止しようとしたことに猛省を促したい。

 調査特別委に参加せず与党の暴走を許す結果になった野党も反省する必要がある。

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