沖縄県南城市玉城の漫画家、ミナミトさんが描く奥武島をモデルにしたギャグ作品「海色マーチ」(芳文社)の第1巻がこのほど、全国発売された。海水浴初心者の県外転校生と島の女子中学生2人が織りなす物語は、かわいらしい絵柄と毒気を含むせりふのギャップが魅力。緩やかな日常を描く筋立ての中には海遊びの注意点も盛り込んだ。(南部報道部・松田興平)

全国発売された「海色マーチ」第1巻と、作者のミナミトさん=16日、南城市玉城の仕事場

 同作は全国販売される月刊誌「まんがタイムきらら」に2018年7月号から連載中。単行本化にミナミトさんは「奥武島を描いた作品が北海道から沖縄までの本屋に並び、不思議な気分」と語る。

 元々は広告のデザイナー。自身のSNSに趣味でイラストを掲載していたところ16年、出版社にスカウトされて漫画を描き始めた。

 プロになるためには出版社へ何度も投稿し、アシスタントなどを経験してデビューするのが一般的。実績があっても読者投票で人気が落ちれば打ち切られる業界で、連載し、単行本を出版し続けられる作者は限られている。

 ミナミトさんは「順調に歩んできた感覚は全くない。デビュー時より力不足を痛感させられている」と前進しているが故の壁を感じている。

 毎月仕上げる8ページを彩るのは愛らしいキャラクターたち。てんぷら屋や橋、港などの配置が奥武島とほぼ重なる「宇御島」が舞台。人物は漫画らしいデフォルメタッチだが、毒を持った生物などは写実的に描かれる。シュノーケリングの失敗などを軸とした回はユーモラスかつ現実的。

 自身の趣味もシュノーケリングで「偉そうには言えないけど、ひそかに海難事故防止につながってほしいという思いも込めている」と明かす。笑いの中に経験談を盛り込んだ創作活動に励んでいる。