10月6日に熊本県で行われたラグビーワールドカップ(W杯)の試合で、最も活躍した選手に贈られるプレーヤー・オブ・ザ・マッチのプレゼンターを務めた名護中1年の伊礼門千珠(いれいじょうちじゅ)さん(12)。実は手違いで事前に登録されておらず、当初は会場内にも入れなかった。しかし、事情を知った関係者やスタッフが「ワンチーム」で臨機応変に対応。大役を任された千珠さんは「皆さんのおかげでとてもいい経験ができた」と感謝した。

「皆さんに感謝したい」と話す伊礼門千珠さん(左)と母の愛奈さん=22日、名護市・21世紀の森ラグビー場

フランス代表のアリベレティ・ラカ選手(右)にトロフィーを手渡した伊礼門千珠さん=10月6日、熊本県民総合運動公園陸上競技場(提供)

「皆さんに感謝したい」と話す伊礼門千珠さん(左)と母の愛奈さん=22日、名護市・21世紀の森ラグビー場 フランス代表のアリベレティ・ラカ選手(右)にトロフィーを手渡した伊礼門千珠さん=10月6日、熊本県民総合運動公園陸上競技場(提供)

 母の愛奈(あんな)さん(43)に9月、九州ラグビー協会の関係者から、選手の入場時に国旗を持つ役に千珠さんが推薦されたとメールがあった。10月の試合に、千珠さんは父母と所属するラグビーチームの監督と一緒に出掛けた。しかし、会場に着くと連絡の手違いがあり、登録されていないことが判明。千珠さんも愛奈さんも「まさか」と困惑した。

 都内にいて事情を知ったW杯2019組織委員会事務総長特別補佐(当時)の徳増浩司さん(67)が現場担当者に電話で対応を依頼。特別に入場が許可され、スタッフが代わる代わる対応して千珠さんらをロッカールームなどに案内した。

 外国人の女性スタッフが「特別な『魔法』のプレゼントがある」と言って観戦チケットを渡し、「試合で一番活躍した選手にトロフィーを渡してほしい」と伝えた。千珠さんは大役を務め上げ、徳増さんは「スタッフが一生懸命やってくれた結果だ」とたたえる。このエピソードがSNSなどで紹介されると、共感が広がった。

 千珠さんは姉2人の影響で3歳からラグビーを続け、将来は日本代表入りが目標だ。「会場に入れないと聞いてとてもショックだったけど、皆さんが一生懸命に対応してくれて本当にうれしかった。私も人を笑顔に変えられる『魔法使い』になりたい。人を喜ばせられる選手になりたい」とはにかんだ表情で語った。

 愛奈さんは「ラグビーを通して人の温かさを感じた。娘もそういう大人に成長してほしい」と目を細めた。(社会部・伊集竜太郎)