「一日も早い危険性の除去」と言いながら、今後十数年かそれ以上、普天間の皆さん辛抱してください、と言っているのに等しい計画である。

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が沿岸部の埋め立て工期を、これまでの「5年」から「10年程度」に見直していたことが明らかになった。

 埋め立て海域東の大浦湾側で見つかった軟弱地盤の改良工事のためである。埋め立ての後、さらに飛行場の整備に3年を見込んでいる。

 仮に工事がスムーズに進んだとしても、米軍普天間飛行場の返還は2030年代半ば以降に大きくずれ込む公算だ。当初予定からは30年以上も遅れることになる。

 全体計画をずたずたにするような大幅な工期延長である。計画は完全に破綻した。

 普天間返還は、1996年の日米合意で「5年ないし7年」とされ、早ければ2001年の見通しだった。だが先送りが繰り返され、両政府が13年に合意した現行計画では、工期を5年と想定した上で「22年度またはその後返還」となった。

 国はこれまで「世界一危険な飛行場」だとし、移転の必要性を繰り返し強調してきた。この期に及んでもう十数年我慢してくれというのは、住民に対する背信行為だ。

 それだけではない。「一日も早い危険性除去」との決まり文句は、実態の伴わない誇大広告になってしまった。

 これ以上、工事を強行し続けることは許されない。

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 工期の長期化に伴って、少なくとも3500億円以上としてきた関連経費の大幅な増加が避けられない。

 県は昨年「運用まで13年以上、予算は最大2兆5500億円」との試算を示している。工期に関しては見通しがおおむね裏付けられた形だ。

 新基地を巡って国は環境アセスメントの段階からオスプレイ配備など肝心な情報開示を渋ってきた経緯がある。

 今回、軟弱地盤の存在が明らかになったのは市民団体の情報開示請求によるものだった。国が主体的に公表したものではない。

 7万本以上もの杭(くい)を打ち込む地盤改良工事では、ジュゴンやサンゴなどへの影響が懸念されている。既に本島周辺に生息するジュゴン3頭のうち1頭の死骸が確認され、残り2頭は行方不明のままだ。

 「工期」「工費」「環境保全」のどれをとっても、当初計画とは似ても似つかぬ事業になってしまった。

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 国は普天間返還までの十数年かそれ以上の期間、どのような対策を取るつもりなのか。

 今後、取るべき道は、埋め立てを中止し計画を全面的に見直すか、軟弱地盤の改良に伴う環境アセスやジュゴン調査などを実施し、一から埋め立て申請をやり直すか-そのどちらかしかない。

 国は計画が破綻したことを素直に認め、玉城デニー知事が求めている対話に応じるべきである。

 これ以上県民をもてあそぶようなことがあってはならない。