◆[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](292)

イラスト・いらすとや

 子どもの歯が生え始めるのは生後6~8カ月頃ですが、歯のもとになる芽(歯胚(しはい))ができ始めるのは妊娠7~10週頃です。妊娠4~5カ月頃からは、この歯の芽にカルシウムやリンがくっついて少しずつ硬い組織になり、歯の形を作っていきます。一部の永久歯の芽も妊娠期から作られ始めます。

 歯の発育に必要な栄養は、歯を硬くするカルシウムやリンばかりでなく、歯胚の形成に役立つ良質のタンパク質、カルシウムの代謝を助けるビタミンD、Eや歯質の基礎を作るビタミンA、Cなどさまざまです。赤ちゃんの丈夫な歯を作るためにも、バランスのとれた食事を心がけるようにしましょう。

 健康な状態でも、お口の中にはたくさんの細菌がいます。むし歯菌の代表的なものは「ミュータンス菌」で、この菌は歯の表面に付着して増える性質をもっています。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中にはミュータンス菌はいませんが、やがて周囲の人のお口の中にいたミュータンス菌が唾液などを介して、赤ちゃんのお口の中に入ってきます。それでも歯が生えないうちはミュータンス菌が住み着くことはありません。乳歯が生えてきて、糖分を含む食べ物を取るようになると、ミュータンス菌が住み着きやすくなります。授乳や食事の後はガーゼや歯ブラシで歯をきれいにしましょう。

 歯が生え始めたら、かかりつけの歯科医院または小児歯科を受診して定期検診を受けましょう。現在の歯科医療は、一度むし歯などで歯を失うと悪いところを除去して人工物(詰め物、かぶせ物、入れ歯など)に置き換えているだけです。そして、その人工物と歯との間から虫歯になるリスクが高まり悪循環が始まります。身体の中で失っても良い部分は一つもありません。幼児期のうちから歯科医院に通い、歯を治療する場所ではなく、定期的に歯のチェックをしに行く場所にしましょう。(関塚知義 アイランド・デンタル・リゾート・クリニック 読谷村)