社説

社説[秋元議員逮捕]癒着の構図 全容解明を

2019年12月26日 07:30

 秋元司衆院議員が収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。日本でカジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)事業への参入を目指していた中国企業から、現金300万円を受け取った疑いが持たれている。秋元議員は逮捕後、自民党を離党したが、IR誘致推進派で内閣府副大臣としてIRを担当した経歴を持つ。副大臣在任中に関係業者から現金を受け取ったことが事実なら、カジノ利権そのものだ。安倍政権が成長戦略の目玉と位置づけるIR事業に影響が及ぶ可能性もある。

 秋元議員はIR事業に便宜を図ってほしいとの趣旨と知りながら、2017年9月、東京都内で現金300万円を受け取ったとされる。贈賄容疑で逮捕されたのは、中国企業側の役員や顧問3人。県内のコンサルタントや元浦添市議も含まれている。

 さらに、18年2月には北海道旅行に招待され、旅費など70万円相当の利益供与を受けた疑いが持たれている。

 秋元議員は逮捕直前、ツイッターで「不正には一切関与していない」と訴える。

 秋元議員は、カジノ解禁を推し進めていた自民議員ら超党派による「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)に所属していた。

 16年12月、民進党(当時)などの反対を押し切ってIR整備推進法案の採決を強行した衆院内閣委員会で委員長を務めた。わずか3日間、計約6時間で採決に踏み切り野党だけでなく連立を組む公明党からも批判が出た。逆風の中、法案成立に大きな役割を果たしたのが秋元議員だった。

■    ■

 IR誘致が各地で進み始めたのは、IR整備法が成立した18年7月ごろからだ。

 一方で、国会での議論は深まらず、国民的な合意が得られたとは言いがたい。共同通信社がIR整備法成立直後に実施した世論調査では、「反対」が64・8%で「賛成」27・6%を大きく上回った。

 ギャンブル依存症の深刻化や治安悪化の懸念もあり、誘致を目指す自治体の住民から反対の声は根強い。

 IRの整備地域選定に向けた政府の基本方針づくりは、大詰めを迎えている。年明けにも公表される見込みだが、事業の公平性が疑われれば、誘致活動などにも影響が出かねない。

 秋元議員の汚職の容疑が明らかになった今、不正の全容と計画に与えた影響を解明し、検証することなしに、事業を前に進めることはできない。

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 逮捕を受け、野党はIR関連法を審議した衆院内閣委員会の閉会中審査を要求している。現職国会議員の逮捕は10年ぶりだ。副大臣に任命した安倍晋三首相の責任も問われる。

 政権を巡る不祥事が相次ぎ、「桜を見る会」の招待者名簿問題、辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の疑惑も解明されていない。

 自民党は閉会中審査に速やかに応じ、政府は国民への説明責任を果たさなければならない。それができないのなら、衆議院を解散し、国民に信を問うべきだ。

 
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