沖縄県うるま市喜屋武にある老舗食堂「平和食堂」が28日で閉店する。現在の店主の城間和子さん(80)が店を引き継いだのが約35年前。店自体は65年ほど前から営業しており、温かい庶民的な料理で長年、地域の人々から親しまれてきた。閉店を知った常連客が連日訪れて名残を惜しむのを見て、城間さんは「ありがたくて胸がいっぱい」と目頭を押さえた。(中部報道部・宮城一彰)

28日で閉店する平和食堂=26日、うるま市

ねぎらいの花束を受け取り「胸がいっぱい」と話す城間和子さん(左端)と常連客=26日、うるま市喜屋武・平和食堂

28日で閉店する平和食堂=26日、うるま市 ねぎらいの花束を受け取り「胸がいっぱい」と話す城間和子さん(左端)と常連客=26日、うるま市喜屋武・平和食堂

 店は上平良川交差点近くの県道75号線沿いにある。今でも黒電話が現役のレトロな雰囲気だ。店名の由来は分からないそうだが、「いい名前さ」と城間さんは気に入っている。野菜炒めやフーチャンプルーなどが人気で、一番高いメニューでも550円とリーズナブルさが評判だった。

 城間さんは名護市三原出身。子どもの学校の都合で夫の盛喜さん(84)と共に具志川市(当時)に引っ越し、やがて従業員として平和食堂で働き始めたが、前の店主が続けられなくなったため2~3カ月で突然、店主を任された。

 切り盛りは大変だったが、他の従業員や常連客が気さくに指導してくれた。以来、病気もせず働いて4人の子どもたちを立派に育て上げたのが誇りだ。

 外装のペンキは自分で塗った。下校時間には地域の子どもたちが城間さんに会いに訪れた。夕方には常連さんが集まり、模合のようににぎわった。

 思い出の詰まった店だが、老朽化で取り壊すことになり閉店を決めた。26日、店を訪れ城間さんと握手を交わした普天間盛徳さん(67)は「親しみやすくてうまい、おふくろの味だった」と寂しげだった。

 次々と訪れる常連さんの中には「お疲れさま」と花束を持参する人も。城間さんは「立ち仕事はつらかったけど、家にいるより元気になる場所だった。最後の日まで頑張りたい」と笑顔を見せた。