■ニュース回顧2019

日本人女性と米兵の遺体が発見されたアパートで鑑識作業をする県警捜査員=4月13日、北谷町桑江

 今年4月13日早朝、沖縄県北谷(ちゃたん)町桑江のアパートで住人の日本人女性=当時(44)=が元交際相手の米兵=当時(32)、キャンプ・シュワブ所属=に刃物で刺され死亡し、その後米兵も自殺する事件が起きた。繰り返された女性への暴力、つきまとい行為の末に起きた悲劇だった。県警は8月、米兵死亡のまま殺人容疑で書類送致。その後那覇地検が容疑者死亡で不起訴となった。

 米軍憲兵隊と県警は事件前から、米兵と被害女性との間にトラブルがあることを把握していた。

 昨年10月、女性から別れ話を切り出されて逆上した米兵が女性宅の壁を壊すなどしたため110番通報を受け沖縄署員が駆け付けた。今年1月には米軍憲兵隊が女性への接触を禁止する軍事保護命令(ミリタリープロテクトオーダー=MPO)を発令していた。

 憲兵隊からMPO発令の連絡を受けた県警は、被害確認したものの女性は県警の対応を望まなかったとしている。一方の憲兵隊は女性から「(トラブルが起きる)状況はなくなった」と説明を受けたとして、その後の対応をやめた。

 しかし、女性の友人の証言によると「彼女は何度も県警や米軍に被害相談をしていた」。事件前の3月下旬には、米兵がアパート周辺に度々現れ「彼女はおびえていた」という。

 友人によれば、被害女性はMPO発令で米兵が基地内に隔離されていると考え県警の対応を望まなかった可能性がある。実際MPOは機能していない状態にあり、その事実を県警も把握していなかった。

 事件は実効性が伴わない米軍内規の実態、県警と憲兵隊との情報共有、対応の問題点をあぶりだした。

 米軍関係者との交際トラブル相談を受け付けるNPO団体「ウーマンズプライド」(沖縄市)のスミス美咲代表は「MPOが発令されても24時間監視に置かれるわけではない。MPOの運用といった米軍関係者のトラブル処理体制を明瞭化させ、それを日本当局と共有することが必要」と指摘している。

(社会部・城間陽介)