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玉城デニー知事の沖縄県政 2019年を振り返る

2019年12月31日 06:00

 玉城デニー県政が本格的に動きだした2019年。名護市辺野古の新基地建設では、埋め立て工事の賛否を問う県民投票で投票者総数の7割が反対の意思を示した。にもかかわらず政府は工事を止めない。国と県の新たな裁判に発展している。玉城知事は有識者でつくる「万国津梁会議」の設置や、自ら全国各地で基地問題の解決を訴えるトークキャラバンに取り組み、全国民に「自分事として考えて」と呼び掛けを続ける。

県民投票の結果を受け、気勢を上げる県民投票連絡会のメンバーたち=2月24日、那覇市古島(下地広也撮影)

新基地建設に向け、国が埋め立てを続ける名護市辺野古の沿岸部=13日(小型無人機から)

「フジロックフェスティバル」に出演し、新基地建設反対を訴える玉城デニー知事=7月28日午後、新潟県湯沢町

県民投票の結果を受け、気勢を上げる県民投票連絡会のメンバーたち=2月24日、那覇市古島(下地広也撮影) 新基地建設に向け、国が埋め立てを続ける名護市辺野古の沿岸部=13日(小型無人機から) 「フジロックフェスティバル」に出演し、新基地建設反対を訴える玉城デニー知事=7月28日午後、新潟県湯沢町

県民投票

新基地反対 民意示す

 名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立て工事の賛否を問う県民投票が2月24日にあり、投票率52・48%で、3択のうち「反対」が43万4273票と、投票総数の71・7%を占めた。「賛成」が11万4933票、「どちらでもない」が5万2682票だった。

 新基地建設は、仲井真弘多知事(当時)が2013年12月に埋め立てを承認し、沖縄防衛局は14年7月に事業を開始した。それ以降、県内の知事選と国政選挙では、建設反対を訴える「オール沖縄」勢力が12勝1敗だ。

 安倍晋三首相や菅義偉官房長官は「地方の選挙にはさまざまな争点がある」と辺野古反対の民意を受け入れてこなかった。「それなら」と若者を中心に署名を集め、実現したのが県民投票だった。

 玉城デニー知事は3月1日、安倍首相に直接、結果を伝えた。安倍首相は「普天間の危険性除去をもはや先送りできない」と、埋め立て工事を続ける考えを示した。その後、沖縄防衛局は2カ所目の埋め立て土砂投入を始めた。

 玉城知事は「民主主義国家であるわが国において、直接示された民意は何より重い」と訴えたが、国は民意を顧みることなく、日米合意を優先させている。

 県議会(新里米吉議長)は3月27日の本会議で、日米両政府に県民投票の結果を尊重し、工事の中止と新基地建設の断念を求める意見書と決議を、自民が反対、公明と維新が退席する中、与党会派の賛成多数で可決している。(政経部・福元大輔)

新基地工事

工期12年に延長 訴訟二つも進行

 名護市辺野古の新基地建設で、政府は今年1月、軟弱地盤の存在を初めて認めた。今月25日には軟弱地盤の改良を巡る議論の中で新基地建設の工期を12年、工費が9300億円との見通しを示した。当初想定から工期が5年伸び、工費は約2・7倍に。県は「普天間飛行場の一日も早い危険性除去という新基地建設の根拠が失われた」として工事の中止をあらためて求めている。

 政府は3月、2カ所目の埋め立てに着手したが、初めて土砂を投入した昨年12月から1年間で投入された土砂は、埋め立て全体に必要な量の1%にとどまる。

 政府の焦りは今月25日の軟弱地盤を巡る有識者の技術検討会議で浮き彫りとなった。県外土砂を使用する従来の方針を転換し「全ての土砂を県内で調達が可能」との考えを示した。県外土砂を使用した場合は、外来種の侵入を防止する県条例の規制対象となる。条例が定める搬入前の県への届け出や県の立ち入り調査など工事が遅れるリスクを回避した格好だ。

 政府は年明けに軟弱地盤の地盤改良を県へ申請する見通しだが、県は埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決を巡る「関与取り消し訴訟」、「抗告訴訟」が係争中であることを理由に判断を保留する可能性がある。

 ただ、関与取り消し訴訟は高裁で県が敗訴し、近く最高裁判決が下される見通し。判決後、新基地阻止を掲げる玉城デニー知事が地盤改良の申請を不承認とするかが注目される。(政経部・銘苅一哲)

万国津梁会議

虐待防止やSDGsに力

 玉城デニー知事の公約で、重要政策について有識者から意見を聞く「万国津梁会議」は、米軍基地問題と、児童虐待、SDGs(持続可能な開発目標)の3分野で設置した。

 児童虐待では2回の会合後、子どもの権利全般を保障する条例制定など8項目の意見書を知事に提出。在沖米軍基地の整理縮小では3回の会合を終え、来年3月末までに米軍の最新戦略を分析した上で、辺野古新基地建設は必要ないといった提言書をまとめる。SDGsの議論も進んでいる。

 経済財政や自然文化スポーツの2分野でも、玉城知事は「政策的なテーマにフォーカスしながら進めたい」と万国津梁会議を設置する方針。

 一方、同会議の支援業務の受注業者と知事との会食問題が、県議会で追及を受けた。法令違反は確認されていないが、玉城知事は「襟を正して疑惑や不信を招くことのないよう、客観的かつ公正に県政運営したい」と釈明した。(政経部・福元大輔)

全国トークキャラバン

知事、フジロック出演

 玉城デニー知事は自ら全国の都市を訪れるトークキャラバンを開催し、基地問題の共有を呼び掛けた。既に訪れた東京、大阪、名古屋、札幌のほか、仙台や福岡でも開催を予定している。

 新基地建設の阻止を掲げる県政を築いた翁長雄志前知事と異なる独自路線の取り組みだ。ただ、来場者は従来から基地問題に関心が高い層だった可能性もあり、より一般的な国民全体への訴えも求められる。

 幅広い層への訴えの取り組みとしては、7月に新潟県で開かれた野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」出演が大きなインパクトを与えた。

 沖縄に基地を集中させる政府の姿勢を変えるのは、多くの国民を味方に付ける必要がある。玉城知事はラジオDJの経験を生かし、柔らかく理解しやすい発言が強みだ。知事自らの言葉で国民全体に訴える取り組みの継続が期待される。(政経部・銘苅一哲)

独自外交 知事2度目訪米

新基地に反対伝達 米国連邦議員に働き掛け

 玉城デニー知事は新基地建設反対を訴えるため、10月に就任2度目の訪米に臨んだ。自身の初訪米や歴代知事の訪米行動とは異なり、米連邦議会議員への訴えをメインテーマとした。

 米国の国防予算を決定する来年度の国防権限法案は在沖海兵隊の配置を見直す条項が盛り込まれ、玉城知事は新基地も見直しの対象とするよう米議員に直訴。結果的に条項は削除されたが、権限法は毎年審議されるため、県は米議員への情報提供、沖縄への招聘(しょうへい)に取り組む考えだ。

 県議会与党の県議団も11月に訪米し、米政府や米議会の関係者に新基地断念を求める県議会決議を手渡した。野党超党派の国会議員でつくる「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の3氏も、年明け1月に訪米を予定。辺野古で歩調を合わせる日米両政府の壁は厚く、知事や議員による独自外交の継続が重要となる。(政経部・銘苅一哲)

 
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