富山県高岡市立高岡西部中学校3年の上坂大空さんは「相手を思いやるという人間の根本にあるあたたかさは今でも残っていることが分かった」という思いにかられた。

 地元の北日本新聞に掲載された「飛行機代6万円ありがとう 見知らぬ自分に飛行機代 恩人と再会」の記事は「僕の心をあたたかくしてくれた」という。感想は「第10回いっしょに読もう! 新聞コンクール」(日本新聞協会主催)中学生の部で最優秀賞に選ばれた。

 失意にうなだれている高校生に手を差し伸べ、その厚意に感謝し恩人を捜したニュースは「人を信じる」ことの大切さを多くの人々に伝えた。

 今年4月、伯父の葬儀に参列するために与那国島に帰省する途中で財布をなくした沖縄工業高校2年の崎元颯馬さんに、事情を聞いた見ず知らずの白髪の男性が財布から6万円を差し出した。名前や連絡先を聞きそびれた崎元さんは本紙などを通して恩人捜しを呼び掛けた。インターネットの記事で知った埼玉県に住む医師の猪野屋(いのや)博さんが学校に連絡。5月下旬に2人は再会した。

 知人に「だまされたんだよ」と言われていた猪野屋さんは「捜してくれていることに感激して泣けてきた。信じていてよかった」と喜んだ。

 共感が広がり、恩人が判明した記事は本紙サイトで今年最もアクセスがあった。「翁長雄志知事死去」の時を超え歴代最多を記録した。ほっこりした話題を社会は求めている。上坂さんは「袖振り合うも多生の縁が生き続けるよう僕も心がけていきたい」と誓った。

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 病気や事故で髪を失った子のために髪の毛を寄付するヘアドネーションにチャレンジした子どもたちも多くいた。

 寄付した髪の毛は、髪がないことの悩みや苦しみを和らげる医療用かつらに利用される。一方で、長年伸ばした髪を切ることには決心がいる。

 うるま市立高江洲小4年の比屋根義章さんは姉が髪を寄付したのを見て、「自分も同じように人の役に立ちたい」と思い、31センチ以上を目指し2年間、手入れに励んだ。

 「女の子に間違えられるのが恥ずかしかった」という。6月中旬に沖縄市内の美容室でカットした。ヘアドネーションに取り組むNPO法人も「男子児童の寄付は聞いたことがない」と驚く。

 比屋根さんは「つらい思いをしている子どもの気持ちが少しでも休まれば」と願う。

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 那覇高校3年の玉城弘次廊さんが4月、埼玉県内の民家火災に居合わせ、2階に取り残された少女を救助したことも忘れられない。

 「あの時は考える前に体が動いていた」と玉城さん。我が身の危険も顧みずに人助けをした勇気に頭が下がる。

 「新聞コンクール」奨励賞を受賞した沖縄市立高原小4年の宮里綾理さんは「六万円の恩人」の記事を読み、母親と「優しさのリレー」のようだと話し合った。

 互いを思いやり、苦しいときは助け合う「優しさのリレー」を私たち一人一人がつなげていきたい。