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拡大基調を維持 後半は主力の観光が鈍化 2019年の沖縄経済を振り返る

2019年12月31日 15:01

小売業

新規出店次々 コンビニ進出 競争激化

国内コンビニチェーン最大手のセブン―イレブンの県内初出店で列をつくる来店客=7月11日、那覇市松山

 人口や観光客の増加に伴う消費の取り込みを目的とした大型商業施設の開業や国内最大手のコンビニチェーンの新規出店で、県内小売業の競争が激しさを増した。近隣店と客足を奪い合う構図となり、売り上げが低下する店舗も。10月の消費増税による買い控えや暖冬による衣料品販売の不振もあり、各社が年末年始の商戦に力を入れる。人手不足の深刻化で賃金アップや省力化設備の導入も進んだ。

 大型商業施設で県内最多の250店が出店する「サンエー浦添西海岸パルコシティ」が6月27日、オープン。米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の将来的な返還を見据えて、跡地開発後の商業地や住宅街の消費を見込んでいる。ただ、開業当初の交通渋滞のイメージから客足が遠のき、消費増税も重なってテナントが苦戦。施設を運営するサンエーパルコは商戦での立て直しを強化している。

 7月11日にはコンビニ最大手のセブン-イレブンが14店舗を県内初出店。2024年までの5年間で250店舗の出店を掲げる。県内の「食品小売市場」でトップシェアを目指しており、競合する沖縄ファミリーマートやローソン沖縄だけでなく、スーパー各社も競争激化を懸念している。

 沖縄総合事務局によると、県内の百貨店、スーパーの既存店販売額は7、8、10月と前年同月割れ。中小企業を対象に増税の影響を緩和する国の「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加できない大手スーパーは自社負担で還元サービスを始める所もあり、価格競争が過熱している。

 全国のコンビニでは、人手不足によるオーナーや従業員の過労が社会問題化。県内でもローソン沖縄の1店舗が初の時短営業と元日休業の導入に踏み切っている。

害虫ガ

食害拡大 早期防除図る

食用スイートコーンの葉鞘部などに侵入して食害するツマジロクサヨトウ(県病害虫防除技術センター提供)

 南北アメリカの熱帯・亜熱帯地域が原産の外来のガ「ツマジロクサヨトウ」の幼虫が7月、県内で初確認された。一晩で100キロを飛べる移動能力や繁殖能力の高さで、11月初旬までに14市町村に生息区域を拡大。夏植えのサトウキビや飼料用トウモロコシ、ソルガムの葉などを食害した。

 初確認を受け、国と県は7月、県内54農地で緊急発生調査を実施。農業関係者や市町村担当者を対象に、対策会議を開き、8月以降も1カ月当たり80農地を調査するなど、早期防除に取り組んだ。

 一方、発見から10日たっても現地の農家に情報が共有されなかったケースもあり、緊急連絡体制の構築など早期防除に課題も残った。

 2016年にアフリカで確認され、インドやアジア地域に広がり、各国で深刻な農業被害をもたらした。国内では防除方法が確立されておらず、農薬への耐性の強さや移動能力の高さから、被害の拡大が懸念されたが、11月初旬以降、県内で新たな発生は確認されていない。

物流

国際拠点目指し課題も

5月1日にオープンした那覇港総合物流センター(那覇港管理組合提供)

 沖縄の好景気や「地の利」を背景に、物流関連業界でも活発な動きがあった。

 海上物流では、国内外の物流ネットワークをつなぐ新たな物流拠点「那覇港総合物流センター」が5月1日に開業した。冷蔵、冷凍設備を完備し、貨物の集約から保管、検品、梱包(こんぽう)、混載などを一元化。物流の高度化と迅速化、付加価値の高い貨物の創出を図り、国際物流の拠点として取り扱い貨物の増加を目指す。那覇空港とのアクセスもよく、海上貨物と航空貨物の連携促進も期待される。

 一方で、那覇空港の国際貨物取扱量は減少傾向にある。国際貨物ハブ事業を展開する全日空の沖縄発着貨物便が、2017年から2年連続で減便。中国経済の成長鈍化や、米中貿易摩擦、日韓関係の冷え込みなど世界情勢も影響する。

 県は新規貨物路線を運航する海外貨物便の誘致を進める。それと同時に、1便当たりの貨物量を増やす取り組みも求められる。1月には、那覇空港内で機体整備の専門会社「MRO Japan」が本格稼働した。

 国際物流拠点の実現には、今後、精密機器などを取り扱う製造業、航空機部品製造など航空関連産業の誘致をさらに加速させる必要がある。県内企業の沖縄発の商品や製品を増やす施策も求められる。

黒糖

在庫抱え 販路開拓模索

 県産黒糖は、新たな販路を見いだせず、県内で3247トンの在庫を抱える。サトウキビは2012年以降、増産が続いているが、肝心の「出口」となる販路開拓は行き詰まっている。国と県は、販売強化に向け、実証事業や予算措置など支援する考えを示している。

 黒糖の生産量は16年以降、9千トンと安定的に推移している。だが、県外の取引先の倉庫は9218トンが保管されたままで、県内と合わせると、在庫は計1万2465トン。国内で1年間に必要な県産黒糖の約1・7倍に上る。

 JA沖縄中央会など関係団体は、黒糖の在庫解消に向けた支援策を求める要請書を国に提出。当時、沖縄担当相だった宮腰光寛氏は「販路拡大に向けた実証事業を来年度にも行う」と前向きな姿勢を見せるも、同時に製糖業界へ努力を促す意思を示した。

 国は来年度の予算で、在庫を解消するため販売・保管体制を強化する実証事業を実施する方針。販路拡大に向け、本格的に動きだす1年になりそうだ。

金融

低金利が長期化 地元3行は減益

 日本銀行の大規模金融緩和による低金利が長期化し、金融機関を取り巻く環境は厳しさを増している。国債の利回り低下で、償還後に再投資をしても利益を得るのが難しくなっており、貸出金の金利の低下も続く。琉球銀行、沖縄銀行、沖縄海邦銀行の2020年3月期の中間決算はそろって減益となった。

 県内地銀3行では、県経済の拡大を踏まえ、新たな資金需要の掘り起こしに努めてきた。中間決算では3行とも貸出金残高(平均)が増え、収入の柱である貸出金利息収入を伸ばしたが、金融を取り巻く環境の変化に備えた投資により、経費も増えた。

 琉球銀行は新たな営業店端末など業務効率化に向けた投資を進め、沖縄銀行は一般職廃止で人件費が増えた。沖縄海邦銀行は九州の第二地銀が共同利用する新勘定システムに移行した。

 今後、各行とも「本業」を強化しつつ、手数料収入など新たな収入源の確保にも注力する構えだ。
 

 
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