2020年はねずみ年。沖縄市の沖縄こどもの国では、国内最大のネズミのケナガネズミが飼育されている。飼育に取り組んでいる動物園は全国唯一といい、園の担当者らは「生息数や平均寿命など不明な点が多い。生態を調べ、最終的には繁殖にも成功できれば」と期待している。(中部報道部・豊島鉄博)

沖縄こどもの国で飼育されているケナガネズミ(同園提供)

 ケナガネズミは国指定天然記念物で絶滅危惧種に指定されている。本島北部と奄美大島、徳之島だけに生息し、体長22~33センチ、体重約500グラムほど。尾は24~37センチと長く、先端から半分ほどは白くなっている。夜行性で主に樹上で活動し、これまでほとんど調査研究されてこなかった。

 同園は環境省や文化庁の許可の下、14年に雄の「ドン」と雌の「グリ」の飼育を始めた。巣箱や餌を食べる場所の周辺に8台のカメラを設置し、24時間録画している。

 当初から飼育に取り組む同園獣医師の金城輝雄さん(56)によると、午後6時~8時ごろに動き始め、日の出の1~2時間前後に巣箱に戻ることが多いという。金城さんは「繁殖期の9~2月ごろには『クエークエー』『キッ!』と大きな声で鳴き、2匹の間で『鳴き交わし』も見られた。健康状態を日々チェックするため、餌を近くに置いて体重計に乗せるなど、試行錯誤した」と振り返る。

 ドンとグリは16年から一緒に暮らし始めたが、19年6月にはドンが胸の腫瘍のため亡くなった。ネズミの平均寿命は1、2年ほどといい、金城さんは「ケナガネズミはネズミの中ではかなり長寿だと思われる。しっかり飼育保護に取り組みたい」と話した。 

 3月から飼育に取り組む同園の簗場(やなば)未来さん(28)は「松ぼっくりなどの餌を両手で持って食べる。毛がふわふわしているのもかわいい」と魅了された様子だ。

 園と共に研究に取り組む琉球大学の伊澤雅子教授(動物生態学)は「今後は撮りためた鳴き声の解析などを進め、詳細な研究を進めたい」と話した。

 ケナガネズミは夜行性で警戒心が強く、現在公開されていない。来年1月5日にはケナガネズミやイリオモテヤマネコなど琉球弧の希少種について学べるイベント「ケナガネズミとおきなわのいきものたち」が同園で開かれる。問い合わせは同園、電話098(933)4190。来年1月1日まで動物園は休園。