年が明け、初詣をどこにしようか。せっかく東京にいるなら、なかなか足を運べない所に行きたい。ネット検索すると、全国に先駆けて電子マネーでのさい銭を始めた神社を見つけた

▼意外に由緒あると言っては失礼か。日比谷公園にほど近いオフィス街にある愛宕神社は1603(慶長8)年、徳川家康の命により創建された。東京23区内の天然の山では最も高い標高26メートルの愛宕山の山頂にある

▼楽天Edyが使えるとネットにあったが、着いてみると電子さい銭箱は見当たらない。聞けば、毎年仕事始めの日限定とのこと。確認せずにネット情報をうのみにしたわが身を悔やむ

▼2時間待ちの行列に並び、泣く泣く現金で参拝したが、捨てる神あれば拾う神あり。神社へ続く急な石段は古くから「出世の石段」と呼ばれる。江戸幕府の三代将軍家光の家臣が馬に乗って駆け上がり、出世を果たしたという故事に由来する

▼傾斜角度は約40度。真下から見上げると、天にそそり立つ巨壁のよう。武勇伝にあやかりたいと歩を進める参拝客に交じり、86段を一気に上った

▼さい銭が現金であろうと電子マネーであろうと、何かを願う心に違いはない。急勾配の石段を上りきる気力・体力と、底冷えの寒さで参拝の行列を待つ忍耐力があれば、たいがいの試練は乗り越えられそうな気がする。(西江昭吾)