2020年の県経済は拡大基調が見込まれるが、一服感もくすぶる年となりそうだ。

 好調に推移した19年は後半、日韓関係の悪化による観光客の減少や消費増税に伴う駆け込み需要の反動減など、観光業や消費関連で落ち込んだ。こうした動きに改善の兆しはみられない。

 日本銀行那覇支店の12月の県内企業短期経済観測調査では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス27となったが、19四半期ぶりに30を下回り、拡大ペースが鈍化した。先行きも全産業でさらに縮小する予想だ。

 人口増加や観光需要の高まりを背景に、大型商業施設の開業、大手コンビニエンスストアの進出など小売業の活況も目立つ一方で、競争は激しさを増す。消費増税の影響で、県民の節約志向が強まる可能性もある。

 期待がかかるのは、3月に控える那覇空港第2滑走路の供用開始だ。人・モノの流れに不可欠なインフラが整うことで、東アジアの玄関口として観光客数の増加や国際物流の促進が見込まれる。

 ただ、航空各社の機材繰りや那覇空港を結ぶ主要空港の発着枠の制限などがあり、新規の路線拡大は見通せない状況にある。

 新滑走路を有効活用するためにも、需給バランスを見極めた増便計画や受け入れ態勢の対策が必須である。

 観光施策の正念場ともいえる局面で、県のプロモーションの強化だけなく、官民が危機感を共有しながら、連携した具体的な取り組みが求められる。

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 主力の観光産業にとっては、転換期ともなりうる年といえる。

 18年度の観光客数は1千万人を超えた。今後もクルーズ船の寄港数の増加など国内外の観光需要は依然と高い。

 だが、交通渋滞やごみの投棄など、観光客の増加に伴って地域生活に悪影響が生じる「オーバーツーリズム」も顕在化しつつある。

 沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)の総点検の審議では、オーバーツーリズムを念頭に「観光客数の拡大を制御する観光管理という新たな概念」の必要性も指摘された。今後の観光産業の成長に不可欠な視点だろう。

 持続可能な観光地を目指して「入島税」や「入域料」などの導入も進む。訪れる側も受け入れる側も過ごしやすい観光地として何が必要か。観光産業の量から質への転換に向け、官民挙げた施策の展開が急がれる。

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 夏には東京五輪・パラリンピックが開催される。消費拡大や観光客増加などさまざまな特需が予想されるが、その後の反動も見込まれる。県内への影響のシミュレーションも必要だろう。

 多くの業種で常態化する人手不足には、息の長い人材育成や、賃金などの待遇改善が不可欠だ。景気が好調に推移する今こそが、賃金の底上げや格差是正など道筋をつけるチャンスでもある。

 景気の先行きに不透明さが漂う中で、警戒感を持ちながら、課題への備えと新たな成長への挑戦が求められる。