着着と建設が進む那覇空港第2滑走路=11月28日、那覇市(本社チャーターヘリで下地広也撮影)

 那覇空港の新たな滑走路が2020年3月26日、開業する。安定的に運用できる年間の離着陸回数は24万回に増大。観光を基幹産業と位置付ける沖縄にとって、空の玄関口の拡大は多くの航空機の往来を生み出し、観光需要の高まりに期待がかかる。また、離着陸時の混雑も大幅に改善され、定時運航にもつながるなど、多くのメリットを持つ。一方で、開業後すぐには路線拡大が見込めないなど課題もあり、第2滑走路の有効活用には関係機関の取り組みが鍵となる。(政経部・仲本大地、島袋晋作)

那覇空港第2滑走路の位置

 現在の那覇空港は、観光需要の高まりを受け国内外の約40都市と路線を結んでおり、年間2千万人以上が利用する。12年以降、国内外の格安航空会社の進出が追い風となり、中国や韓国、台湾など東アジアだけでなく、シンガポールやタイなど東南アジアにも路線を拡大。国際空港としての役割を担うまでに成長した。

 那覇空港の利用拡大に対応するため、14年1月に第2滑走路の造成工事に着手。現在の滑走路から約1300メートル離れた沖合を約160ヘクタール埋め立て、全長2700メートル、幅60メートルの滑走路を造り上げた。総事業費約2074億円に上る巨大プロジェクトとなった。

 国によると、第2滑走路供用開始後に、安定的に発着できる回数は24万回を見込む。ただ、国内航空各社は機材繰りや、那覇空港を結ぶ主要空港の発着枠に限りがあることなどを理由に、19年12月時点で供用開始に合わせた新規就航や増便の予定はなく、大幅な路線拡大は見込めない。県や沖縄観光コンベンションビューローは、国内外の航空会社に新規就航や増便を呼び掛け、路線拡大に向けた取り組みを進めており、今後の動向に注目が集まる。

那覇空港の旅客数と発着回数の推移

発着時の混雑解消へ 定時運航でコスト削減

 那覇空港第2滑走路の運用が始まり、発着枠が拡大することで、航空機の発着時の混雑解消に期待がかかる。現在の1本の滑走路で安定的に運用できる発着回数は13万5千回だが、2018年度の発着回数は16万4千回と大きく許容量を超えた。そのため、上空や滑走路周辺では発着を待つ航空機が列をなしている。

 日本トランスオーシャン航空(JTA)の担当者によると、季節や時間帯によっては20分以上、待機することもあり、乗客の旅程に支障が出るケースがしばしばあるという。「定時運航は公共交通の重要な使命だ。発着枠が拡大し定時運航ができることで、遅延による余分なコストの削減や、お客さまへの信頼につながるなど、メリットは大きい」と話した。

 また、航空機トラブルなどで、飛行場全体が閉鎖され、人や物資の往来が滞り県民生活に影響を及ぼすリスクもある。そのため第2滑走路の開業は危機管理上の効果にも期待がかかる。

 安定的なヒトとモノの往来を生み出す第2滑走路は、経済振興だけでなく、県民生活の下支えにも寄与していくだろう。

飛行経路の分離で発着回数が拡大

飛行経路分離 発着24万回に 現行の1.8倍

 那覇空港の第2滑走路の運用開始により、年間を通じて安定的に運用できる発着回数は現行の約13万5千回から1・8倍の約24万回に増える。発着回数は当初約1・4倍と見込まれていたが、2本の滑走路の飛行経路を分離することで独立運航が可能になり、受け入れ規模が大幅に拡大する。

 現滑走路を「離陸優先」、第2滑走路を「着陸優先」で使うことが想定されているが、国は当初、現滑走路からの出発経路と第2滑走路で着陸をやり直す際に通る「進入復行経路」を同方向に描いていた。

 この場合、航空機が接近しないよう離着陸のタイミングをずらして運航しなければならず、発着回数は約1・4倍の約18万5千回にとどまっていた。

 ただ、2018年度の実績は16万4千回に上り、第2滑走路ができても早期に過密化する懸念があった。そこで「進入復行経路」を大きく西側に描き、出発経路と分離させる運航方法に変更し、受け入れ規模の拡大を図っている。

 自衛隊機は沖合の第2滑走路とともに現行滑走路も使用する。軍民共有のリスクは引き続き残る。

離陸を待つ旅客機=28日、那覇空港の滑走路