【中小企業のチカラ 経営革新の現場】琉球補聴器(上)

社員研修で、社長に対する厳しい意見が描かれた付箋紙。森山賢社長は、今も大切に保管している。

創業20周年記念イベントで笑顔を見せる、創業者の森山勝也氏(右)と賢氏=2007年、那覇市内のホテル(賢氏提供)

社員研修で、社長に対する厳しい意見が描かれた付箋紙。森山賢社長は、今も大切に保管している。 創業20周年記念イベントで笑顔を見せる、創業者の森山勝也氏(右)と賢氏=2007年、那覇市内のホテル(賢氏提供)

 琉球補聴器(那覇市)の2代目社長、森山賢氏(47)の経営者としての原点は、全社員を前にした土下座と謝罪だった。

 「恥ずかしい思い出。しかし、あの出来事がなければ今の私はない」。就任直後は、新米社長の自分を会長として支えた、父であり創業者の勝也氏(72)に反発してばかり。「生意気」な社長だった。

■全社員を前に土下座

 就任から約3年が過ぎた2011年の夏。全社員に呼び掛け、将来のビジョンを考える宿泊研修を沖縄本島南部で開いた。

 約30人の社員に、無記名で将来の夢を付箋に書き出してもらった。「新車を買いたい」「自社ビルを建てたい」。私的なものから会社のことまで、約800もの願いが飛び出し、会場が盛り上がった。

 事件は「夢を阻害しているもの」を洗い出す作業で起きた。内容別に分類されて貼り出された中で、ひときわ大きなスペースを占める「阻害要因」があった。「何だろう」。近づいた賢氏は絶句した。

 「社長が本気で変わらないと会社はつぶれる」「創業者への尊敬の思いが感じられない」-。そこには自身に向けられた社員の不満があふれていた。