沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた俳優の吉永小百合さんと音楽家の坂本龍一さんによるチャリティーコンサート。沖縄に寄り添ってきた二人が、戦後75年の節目に、言葉と音楽の力で思いを表現した。穏やかな口調の中に強い意志を込めた吉永さんは、沖縄の子どもたちが作った「平和の詩」について「いつも胸が熱くなる」と語り、平和を願う心を会場の人々と共有した。

子どもたちの平和の詩を朗読する吉永小百合さん=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター(国吉聡志撮影)

ピアノソロを披露する坂本龍一さん=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター(国吉聡志撮影)

ソロで民謡を歌う古謝美佐子さん(国吉聡志撮影)

子どもたちと「てぃんさぐぬ花」を合唱し、笑顔を見せる(手前右から)古謝美佐子さん、吉永小百合さん、坂本龍一さん=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター劇場棟(国吉聡志撮影)

公演を見ようと、大勢のファンが駆け付けた会場=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター

子どもたちの平和の詩を朗読する吉永小百合さん=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター(国吉聡志撮影) ピアノソロを披露する坂本龍一さん=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター(国吉聡志撮影) ソロで民謡を歌う古謝美佐子さん(国吉聡志撮影) 子どもたちと「てぃんさぐぬ花」を合唱し、笑顔を見せる(手前右から)古謝美佐子さん、吉永小百合さん、坂本龍一さん=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター劇場棟(国吉聡志撮影) 公演を見ようと、大勢のファンが駆け付けた会場=5日午後、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター

 満席となった会場は、吉永さんが詩を朗読し始めると、水を打ったように静まり返った。

 沖縄全戦没者追悼式の歴代の「平和の詩」から吉永さんが朗読したのは4編。大宜味村の当時小学5年生が書いた詩「心のたんぽぽ」(1999年の追悼式)は、ゆっくりとかみしめるように日本語と英語で読んだ。「よごれた心洗います」「きっとあらそいなくせます」という素朴で力強い言葉に、観客は引き込まれた。

 与那国町の当時小学1年生による詩「へいわってすてきだね」(2013年の追悼式)は、前を見据えて「このへいわが、ずっとつづいてほしい」と読み上げ、感極まった観客の中には目頭を押さえる人もいた。

 坂本さんは第1部のピアノ演奏で映画「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」のテーマ曲「Gui」などを弾いた。「今もカメジロー(故瀬長亀次郎さん)の時代とあまり変わっていない気がする」と、日本復帰後も変わらない沖縄の苦境に触れると、観客は同意するようにうなずいていた。

 アンコールでは、ゲストの古謝美佐子さんや地元の子どもたちも一緒に「てぃんさぐぬ花」を合唱。観客の手拍子に乗って舞台上で手踊りを始める子どももいた。出演者と観客が一体となったフィナーレに、会場は感動に包まれた。

「2人はオーラすごい」「思いが会場を一つにした」

言葉と音楽が共鳴 満席の会場心一つ

 日本を代表する俳優と音楽家の共演に、来場者からは「涙が止まらない」「平和の大切さを改めて感じた」との声が上がった。

 石垣市から訪れた主婦の横田かおりさん(53)は、初めて吉永さんの朗読を聞いた。「感動で涙があふれた。自分にも平和のために何かできることはないかと考えさせられた」と目を赤くしていた。歌で共演した糸満高2年の金城聖さん(17)は「すごい方々と一緒に歌えてうれしかった」と声を弾ませた。坂本さんと吉永さんからは「自分たちが楽しめるように歌って」とアドバイスがあったといい「2人はオーラがすごかった。楽しくできました」と充実した様子だった。

 吉永さんは昨年8月、那覇市の対馬丸記念会に「いつまでも忘れないことが大切です。二度と戦争をしないという強い思いのなかで」とメッセージを寄せている。祖母を対馬丸で亡くした照屋明美さん(59)は「県外の方がこんなに沖縄のことを真剣に考えてくれてうれしい」と話し、「コンサートを見て、私たちも平和のために頑張らないといけないと思った」と決意を新たにしていた。

 同会の高良政勝理事長も「お二人の平和への思いが会場を心一つにしていたように感じた」と語った。

 ひめゆり同窓会の玉城節子会長(91)は「かつてない体験。戦争体験者が減る中、朗読や音楽で平和を伝えることは意義がある」と称賛した。