伝統組踊保存会(眞境名正憲会長)の2020年新春組踊大公演が4、5の両日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。4日は「執心鐘入」(玉城朝薫作)と「花売の縁」(高宮城親雲上作)、5日は「護佐丸敵討」(玉城朝薫作)と「万歳敵討」(田里朝直作)をそれぞれ上演し、新たな年をことほいだ。(学芸部・天久仁)

「執心鐘入」の一場面。中城若松(右・佐辺良和)に言い寄る宿の女(新垣悟)

幕開けを飾った新保持者12人による「かぎやで風」

「花売の縁」の一場面。再会を喜ぶ(左から)乙樽(大湾三瑠)、鶴松(宇良佳祐)、森川の子(島袋光尋)=浦添市・国立劇場おきなわ

「執心鐘入」の一場面。中城若松(右・佐辺良和)に言い寄る宿の女(新垣悟) 幕開けを飾った新保持者12人による「かぎやで風」 「花売の縁」の一場面。再会を喜ぶ(左から)乙樽(大湾三瑠)、鶴松(宇良佳祐)、森川の子(島袋光尋)=浦添市・国立劇場おきなわ

 両日ともに組踊を代表する作品が選ばれ、国の重要無形文化財「組踊」の新保持者12人による祝儀舞踊「かぎやで風」で幕開けした。公演は組踊「初演300年」を経て、次の100年を見据えた伝統組踊保存会の意気込みを感じさせた。共催は国立劇場おきなわ運営財団。

 4日の「執心鐘入」は美少年、中城若松(佐辺良和)を慕う宿の女(新垣悟)が情念を募らせ、姿を鬼女に変える様子が描かれる。

 佐辺と新垣の安定感のある唱えと所作が、冷徹な若松と思いをたぎらせる宿の女の心情を浮き立たせた。物語の最終盤、座主(嘉手苅林一)と鬼女との対決は、スピード感あふれる展開の中にも冷静な雰囲気を漂わせた。

 鬼女(鐘入)は仲村圭央、小僧1は山入端實、小僧2は岸本剛、小僧3は大城常政。

 「花売の縁」は離れて暮らす親子の再会がテーマ。首里の士族、森川の子(島袋光尋)は生活苦から妻の乙樽(大湾三瑠)と子の鶴松(宇良佳祐)を首里に預け、ひとり大宜味間切へ向かう。

 花売に身をやつした己を恥じながらも、家族との再会を喜ぶ森川の子の姿は心を打つ。薪取(金城清一)が登場する場面で歌われる「揚七尺節」、森川の子の心情を的確に表す「干瀬節」「立雲節」は聴き応えがあった。

 猿引は糸満盛幸、猿は糸数彰馬。