うるま市の養豚場で飼育されている豚から豚コレラ(CSF)ウイルスが検出された。隣接する養豚場も合わせて1813頭の殺処分が始まった。感染ルートの解明を進めるとともに、あらゆる対策を講じ、被害拡大を食い止めなければならない。

 県内での豚コレラ確認は33年ぶりである。県などによると、養豚場から6日に通報があり、国の遺伝子検査で8日に感染が確認された。本州で猛威をふるったウイルスと特徴が一致している。

 感染した養豚場から半径3キロ圏内は豚の移動を禁じる「移動制限区域」に、10キロ圏は豚やふんなどの搬出を禁じた「搬出制限区域」に指定した。

 他の地域でも発生がないか、感染の有無の確認と防疫措置が求められる。

 豚コレラは豚やイノシシ特有の家畜伝染病で致死率が高く、治療法がない。国内では2018年9月、岐阜県で26年ぶりに確認され1府8県の養豚場に広がり、殺処分は15万頭を超えた。

 沖縄の場合、感染源とみられるイノシシが海を渡ったとは考えにくいことから、人や物を媒介して持ち込まれた可能性が高いとみられている。

 17年の県内の養豚出荷数は33万頭。出荷額は131億円(前年比16%増)と順調に伸びていた。

 感染した豚の中には、観光客にも知名度の高い沖縄固有種の「アグー」も含まれる。感染が広がれば、養豚だけでなく観光関連産業にも影響が出かねない。

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 豚コレラの県内への侵入を阻止しようと、国などの関係機関は空港や港での肉製品などの検疫対策を強化してきた。餌となる食品残渣(ざんさ)(残飯)の加熱処理を農家に呼び掛けるなど指導にも力を入れてきた。

 農水省が定めた指針は、豚の所有者に対し、豚の健康観察とともに「豚コレラが疑われる場合の届け出の習慣化・確実な実行」を求めている。

 今回感染が判明した養豚場では、昨年12月20日ごろから今月6日までに約50頭が不審死していたことが明らかになっている。6日の県への通報まで2週間以上経過している。連絡が遅れたことで対応が後手に回り、被害を広げた可能性がある。残飯の加熱もしていなかったという。

 危機感の薄さは否めない。県の農家への安全・衛生指導が浸透していたのか。検証が必要だ。

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 豚コレラウイルスの封じ込めに失敗すれば、沖縄本島内で一気に広がる可能性がある。その際には、ワクチンの使用をためらうべきではない。

 沖縄には国内外から多くの観光客が訪れる。旅行者によってウイルスが持ち込まれるリスクは少なくない。農場への関係者以外の立ち入りを制限することも重要だ。

 懸念されるのは風評被害である。豚コレラに仮に感染した肉を食べても人体に影響はない。 

 県には丁寧な情報発信が、県民には冷静な対応が求められている。