[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1218)

 体重の増加で減量を希望する人の中に体がだるい、やる気が出ないという人がおります。食欲はあるのに朝起きたくない、元気が出ないというのです。太っていて顔色が悪く、むくんだような感じを受けます。そのような症状が砂糖の取りすぎによると思い当たり「最近甘いものを食べ続けていませんか?」と聞くと、「えっ、わかりますか?」とその人は虚を突かれたような顔をしたのです。

 そこで甘いものを食べ続けるとどうなるか、順序だてて説明しました。砂糖の入った甘いものを食べると血糖が急激に上昇します。高血糖は毛細血管を傷つけるとされ、体は血糖を下げるためにインスリンを分泌します。インスリンはグルコースを筋肉に消費させる一方、糖を脂肪に変えて組織に蓄え、血糖を急激に下げます。それで低血糖になるとまた甘いものが欲しくなり、悪循環で気分も不安定になります。

 また寝る前に甘いものを食べると夜中に低血糖になり、体は血糖を上げようとアドレナリンを分泌し交感神経を刺激するため眠りが浅くなり、不眠で悩むようになります。さらに朝目が覚めたときは低血糖で体がだるい、起きたくない、やる気がないなどの症状が出てきます。精神的なストレスや悩みもないのに鬱(うつ)っぽくなるのです。

 治療としてはまず砂糖や炭水化物の摂取を止める必要があります。アルコールやニコチンの依存症では酒やタバコを止めないと治らないのと同じ理屈です。このような説明をすると、やっぱりそうかというような表情をされ、「しばらくは甘いものは禁止です」という言葉にも納得されました。

 食欲はあるのに体がだるく特別悩みもないのにやる気・元気が出ないとき、砂糖の取りすぎではないかと疑います。

 数年前から妊娠うつ病をきっかけに鬱病の治療している人で、体重が30キロ増えて体がだるいと訴えた人が、糖分の摂取を控えて元気になりました。甘いものをよく食べていたようです。糖分は人生を華やかにする反面、注意しないと思わぬ害を及ぼします。(仲原靖夫  仲原漢方クリニック院長 那覇市