社説

社説 [技術検討会委員に寄付] 公平性に根本的な疑い

2020年1月10日 08:30

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、軟弱地盤の改良工事に関する有識者会議「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」の3委員が、新基地建設の工事関連業者から計570万円の奨学寄付金を受け取っていたことが分かった。

 県は軟弱地盤などを理由に埋め立て承認を撤回。政府は地盤改良工事により県の主張に対抗する目的で、工事の妥当性を審議する検討会を設置した。その3委員が関連業者から受け取っていたのが、研究振興のため民間から大学学部や教授などに提供される奨学寄付金だ。審議内容の公正・公平性が疑われる。名前が挙がった委員は辞任し、検討会の在り方も根本から見直すべきだ。

 検討会は、国会で軟弱地盤の問題が指摘されたことを受けて、昨年9月に設置された。8委員で構成する。うち、副委員長の大谷順・熊本大学副学長が不動テトラから120万円を受け取ったとされるほか、青木伸一・大阪大学大学院教授と渡部要一・北海道大学大学院教授が東洋建設からそれぞれ300万円と150万円の寄付を認めている。

 そのほかにも委員長に就任した清宮理・早稲田大学理学術院名誉教授を含む4人が国土交通省など政府関係機関の現職や勤務経験者で、検討会の審議の中立性や客観性には当初から疑問が出ていた。

 初会合では、政府が示した地盤改良工事の工法をほぼ追認。飛行場の機能を維持する工法を検討する意見があがったものの、計画全体に特段の異論は出なかった。

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 政府は軟弱地盤の改良で、砂杭(すなぐい)7万7千本を海底に打ち込む工法を採用する方針で、全体の工期は約12年に延長。工費は当初の約2・7倍の9300億円になる見込みだ。

 こうした工事に対し、国土交通相が鑑定を求めた専門家は当初、追加の地質調査の必要性を指摘していた。

 一方、検討会は設計に関する地質調査についても「妥当」としており、政府が追加調査を実施しないための口実づくりの可能性もある。

 新基地建設を巡っては、過去にも沖縄防衛局が設置した環境監視等委員会の複数の委員が新基地の工事を受注した業者から寄付を受けていたことが発覚した。

 河野太郎防衛相は、環境監視等委員会と検討会は性質が違うとして、中立性の疑念について「当たらない」とするが、検討会は最深90メートルの地盤強化など世界的に例のない工法にお墨付きを与えた形で、その主張には無理がある。

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 新基地建設は、その規模や性格から名護市辺野古海域の環境や県民生活に大きな影響を与える。

 その上、工期や工費が大きく膨らんだ計画が政府の言う「唯一の解決策」なのか、かかるコストと得られる効果、安全の点からも詳細で公正・公平な検討が必須だ。

 だが政府が設置する第三者委員会は、透明性が度々疑われ疑念は増すばかりだ。無理のある第三者委を設置することしかできない新基地建設は計画そのものが破綻していると言わざるを得ない。

 
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