豚コレラ(CSF)の感染が拡大した。

 うるま市の養豚場で感染が確認されたのに続き、10日、沖縄市の養豚場で新たな感染が明らかになった。

 うるま市の2例に続く、3例目だ。最初に感染が分かった養豚場から1・6キロほどの距離だった。

 県はうるま市の養豚場で飼育されていた2001頭の殺処分を実施した。今回判明した2809頭も殺処分する。

 市町村をまたぎ感染が広がっており、県内の自治体は危機感を強めている。部外者に養豚場への立ち入り自粛を求める看板を設置したり、衛生管理のための補助金を増額したりするなど、独自に対策を進めている市町村もある。

 農林水産省は豚へのワクチン接種実施に積極姿勢で、江藤拓農相は「沖縄で思いがまとまったら、スピーディーに応えられるように対処したい」と述べた。

 ワクチン接種実施のための推奨地域指定は国が行うが、都道府県の意向が前提となる。

 玉城デニー知事は県の対策会議で「農家の意向を聞きながら検討したい」と語った。 これ以上感染を拡大させないためには、感染が発生していない養豚場にウイルスを持ち込ませないよう人や車の消毒を徹底するなどの防疫対策が必要だ。

 県は同時に、感染が拡大するという万が一に備え、豚へのワクチン接種の態勢づくりを急ぐべきだ。

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 ワクチンは接種後、4日程度で効果が表れ、感染拡大の抑止力となることが期待される。ただし、抗体ができない豚も1~2割いる。

 農水省は、昨年末までに250万頭分を増産しており、さらに今年3月までに250万頭分を製造する予定で、ワクチンは足りそうだ。

 ワクチン接種推奨地域に指定された場合、精肉や加工品は推奨地域外に流通できる一方、生きた豚を推奨地域外に移動できず、種豚や小豚の自由な販売に支障が生じる可能性がある。

 国内では2018年9月、26年ぶりに岐阜県で発生し、関東に広がって、15万頭が殺処分された事例がある。

 ワクチン接種を実施すると、国際獣疫事務局(OIE)から「清浄国」の格付けが外され輸出が制限されることから、農水省は消極姿勢を取った。実施へ方針転換したのは岐阜での発生から1年後だった。

 養豚農家から「ワクチンを使っていれば感染地域が拡大せず打撃を抑えられた。もっと早期に接種を進めるべきだった」と批判の声が上がった。

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 県内には、ワクチン接種を望む声がある一方、イメージ低下を懸念する声もある。  農水省によると、本州でワクチン実施後、豚の価格が下がったり、消費者が買うのを避ける動きは見られなかった。

 ワクチン接種は、県民の食卓に欠かせない豚肉の安全を守る手だての一つ。国と県が情報交換を密にしながら、決定のタイミングを見誤らないことが重要だ。