[イチから分かる ニュース深掘り]豚コレラ(CSF)

 -沖縄県内で豚(とん)コレラ(CSF)に感染した豚が見つかったって聞いたよ。

農場近くの道に消石灰をまく防護服姿の作業員=8日午後2時3分、うるま市(田嶋正雄撮影)

 「うるま市の養豚場(ようとんじょう)で飼育していた約50頭の豚が昨年末から今年初めに死んだので、これはおかしいと思った農家が今月6日に県へ通報した。県が調べたら豚コレラという病気にかかっている可能性が高く、国が詳しく調べ、8日にその養豚場と隣接する養豚場の2カ所の豚が感染したと確定したんだ」

 -沖縄市内でも見つかったんでしょ。

 「うるま市の養豚場から半径3キロ以内にある沖縄市の養豚場で豚の血液や臓器を調べたら、感染したことが10日に分かった。これで3例目。11日にはうるま市の養豚場と関連する沖縄市の養豚場など2カ所でも感染が確認され、危機感が強まっているよ」

 -豚コレラって何。

 「豚やイノシシだけにかかる病気。高熱が出たり、食欲がなくなったりする。薬がないのでほとんどが死んでしまう。感染した豚やイノシシの唾液(だえき)、涙、ふんや尿に別の豚が触れたり、ふんや尿を踏んだ人が靴を消毒せずに別の養豚場に行くことなどで、感染が広がるみたい。とても感染しやすいんだ」

■人には影響なし

 -怖い病気なんだね。

 「でもね。人にはうつらず、感染した豚の肉を食べても人には影響はない。玉城デニー知事は、県や国からの正しい情報を聞いて、冷静に対応してほしいと呼び掛けているよ」

 -どこから感染したの。

 「まだ分かっていない。沖縄での確認は1986年10月以来33年ぶり。国内では92年以降、確認されていなかったけど、2018年9月に岐阜市内の養豚場で26年ぶりに確認された。その後、愛知、長野、滋賀、大阪、三重、福井、埼玉、山梨の1府8県で発生が確認された。野生のイノシシが感染し、そこから豚にうつったケースもある」

 -県や国の反応は。

 「感染した豚の中には沖縄のブランド豚『アグー』も含まれていたので、玉城知事は『沖縄は養豚が盛んな地域』と心配し、対策に乗り出したよ。江藤拓農林水産相も『一番恐れていた遠隔地での発生、しかも(これまでの感染地域と)海で大きく離れている沖縄県での発生は深刻な事態』とショックを受けている」

 -感染拡大を防ぐ方法はあるの。

 「豚コレラの発生した養豚場や隣接する養豚場の豚計6683頭を殺して、土に埋める。県は自衛隊に応援を求めて、この作業を急いでいるよ。農家が大切に育てた豚だけに残念だね」

■ワクチン注射は?

 -他には。

 「養豚場の半径10キロ以内から、生きた豚や死骸、ふん尿を持ち出さないよう制限している。また、周辺10カ所で養豚場などから出てきた車を消毒する場所を設けている。新たに感染した豚が見つからなくなるまで制限や消毒を続けるよ」

 -被害は出てるの。

 「感染が確認された養豚場から半径3キロ以内にある養豚場では、1カ月間は出荷できない。農家はもちろん、豚肉を販売する精肉店やレストランにも影響が出ると考えられているよ」

 -インフルエンザみたいにワクチンを注射して、防ぐことはできないの。

 「ウイルスと闘う『抗体(こうたい)』を作るため、豚にワクチン接種する方法は感染の拡大防止に効果があるみたい。県が農家に説明し、理解を得て、計画を作る必要があるよ。玉城知事は他に感染した豚がいないか、検査を優先し、その後にワクチン接種を判断すると言っている」

 -現段階で問題点は。

 「最初に豚コレラの発生したうるま市の養豚場から、県への通報が遅かったといわれている。県は豚におかしな様子があれば、24時間態勢の県家畜保健衛生所にすぐ連絡するよう呼び掛けている」

 「捨てられた食べ物(残りかす)を熱で処理せず、餌として豚に与えていたことが分かっている。県や国は残りかすに含まれるウイルスを殺すため加熱すること、養豚場をしっかり消毒することなどを指導してきた。この餌が原因かは分からないけど、農家に指導が行き届いていなかったことも考えられる。農家や国、県にはより一層の対策強化が求められるね」

(政経部・福元大輔)